須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

5月27日 木 火星の美女と宇宙の騎士と地球の古本屋

 1時起床。うどんで第一食済ませ、メール点検。

 3時近く外出。本日も上天気。郵便局で冊子1ヶ出し、<Bマーケット>目指して、南平岸駅方面へ坂を下る。

 昨夜、妻がこの店から、昭和56年岩崎書店発行・武部本一郎SFアート傑作集1「火星の美女たち」というA4横長のイラスト集を買ってきたのだが、同じシリーズの3「宇宙の騎士たち」は残してきたというので自分みずからの出動と相成ったのである。「美女」の表紙は半裸の女性、一方「騎士」の方は仮面と鎧をつけた巨漢の絵で、妻には「後者」は売れる確信が持てないので、迷った末「美女」だけ選んだのだそうだ。

 武部本一郎といわれても、自分なんぞはピンと来なかったが、その絵を見てみれば、創元推理文庫で出ていたバローズ作品の表紙や口絵挿絵で、すっかりお馴染みの画家であった。顔立ちは純和風、体付きは西洋風の、水着のような布切れや毛皮を巻きつけただけの、白い肌のとびきりグラマラスな半裸の美女たちが、「火星シリーズ」の表紙や口絵を飾っていたのは、高校時代の親友、バローズ愛読者松井君が、文庫の表紙を示しながら「コーフンするよな」と言ったことと共に鮮烈に覚えている。我々は美術全集のアングルの「泉」や「トルコ風呂」を眺めてコーフンする(萌える?)少年時代を過ごした最後の世代なのであろうから、松井君の感想も無理はない。それはともかく、火星というのはこんな真夏のようなイデタチをしていても平気でいられる場所なのか、と現在ならツッコミたくなるのだが。

 で、これはマニアにではなくたって買われてしまう、もう1冊も早く確保せねば危ない、と考え、今日の行動となったのだ。なにしろ、この近辺は薫風書林も住んでいるし、リブロ平岸さんの通勤路の途中でもあるしで、とにかく周りには古本屋がうろうろ歩き廻っているのだから、いつ売り切れても不思議はない。店内に入ってすぐ、妻から指示された場所に「宇宙の騎士たち」あることはあったのだが、あれれ、210円値上げされている。陳列してすぐに「美女」が売れたため、食い付きがいいと見て、同シリーズのもう一冊、閉店後に値段を変更したのだろう。商売熱心な店員さんですこと。15分ほど買うべきか否か迷って、値上げのショックに気もうつろになり店内をおろおろ歩いた..........と、いうようなことは全然起こらず、すぐにget。
  そのまま斜め向かいのMaxvaluで食料を買い、帰途に着こうとするところで、妻から預かったスタンプ・カードにハンコを押してもらうのを忘れていたのを思い出した。このまま帰っては、「どじ!」「ぼけッ!」と罵声を浴びせられるのは必至なので、勇気を振り絞り、また<Bマーケット>を訪れる。快くOKしてくれたが、なんだい、500円お買い上げに付きスタンプ1個じゃないか。それが60個たまって、つまり3万円買って千円の割引券になるっていうんだから、気の長い話だよ、まったく。と、ぶーたれつつ帰宅。平岸プール横の桜を仰ぎながら。

 夜、サッカー・キリンカップUAE×日本、1−0で敗北、暗雲去らず。巨人4連敗、日ハム3連勝、横浜はロッテに完敗。

 フィリピン・ミンダナオ島で旧日本兵生存の報。大岡昇平がいたところかな?と気になり手元の文庫本みたら、これはミンドロ島であった。