須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 交換会と訃報

 午前6時過ぎ就寝。8時45分起床。トースト2枚、バナナ1、カフェオレにて第一食。9時27分、萌黄さんの車に同乗(自分が7分遅刻)。薫風さんは例によって休みだが、息災なりしや。

 車中、1月後半から2月末までの苦しい日々について話す。〈セブンイレブン〉のコーヒー御馳走になる。10時前セリ会場の頓宮神社着。駐車場はすでにいっぱい。『北方ジャーナル』配る。アダノンキさんからチラシ頂く。文学フリマ札幌へのお誘い。7/23の由。じゃんくまうす太田さんと恒例お参り。階段を駆け足で降りている時に太田さん足をつる。トイレに入ると某君が小用足しながらスマホに見入っている。器用なものだなあと感心するが、スマホはたまに除菌しているのだろうか。

 品物は吉成君出品の一口もの、純文、SF、ミステリーなど文芸もの、COMなど、漫画雑誌、建築関係、小樽岩田さん出品の仏語洋書の山など。今日買った人は儲かる。じゃんくさんが落札できなかった文芸雑誌の山も『幻想文学』も6冊ぐらいだか入っており、面白いものだった。ふくろうさんが休みのため、久しぶりに通常市で発声係のピンチヒッターをやる。あっさり、おっとり、ねっとり、ちゃっかり、うっとり、さっぱり、がっかり、と様々な古書店主の顔というか生態が見られるが、1月2月の苦痛の日々を思うと、やっぱりこの場にいられると嬉しいし、楽しいし、ホッとする。最終台の建築関係はいい値段になった。安く買ってやろうというスケベ心のない、思い切った気持のいい札。古本屋の入札姿勢はこうでなければ、と感服もし、勉強にもなる。ただ、この人の札のクセはちょっと掴んだように思う。でも、この数年、いや十数年か、ほとんど入札をしない自分にはこの観察が役に立つ日は来ないと思うけれど。

 セリ終了後、萌黄さんから声がかかり、Dさん出品のボーになった歌集の口から思いかけず『並木凡平全歌集』を頂く。ありがたし。今日来てヨカッタ。萌黄さん落札品の中に浜田省吾の初期のLPがあり、台車で運搬のお手伝い中、エレベターの中で「路地裏の少年」スガ・ヴァージョンを披露。

 午後1時半帰宅。うどん、ナットウ、トースト1、ミニ餡パン1、バナナ1、カフェオレ、ジュース。5時、トースト1、ミニ餡パン1、バナナ1、カフェオレ、紅茶。確定申告計算。8時半、NHK第二「カルチャーラジオ」でマイルス・デヴィス。ベースがマーカス・ミラー時代について。

 プラゴミ投げ。MS入口敷石上の犬メルドに困惑とユーウツ。本日の気温−3・1〜11・0℃。日中は晴。午前1時、蒸し鶏肉、蒸しモヤシと水菜、フカヒレ、蒸しジャガとタマネギ、胡麻食パントースト1、クリームチーズ、熱燗一合、ウィスキーお湯割3杯。

 妻から札幌在住のジャズピアニスト福居良さんの訃報を聞く。夕方に行った歯科医院待合室で見た道新に記事が載っていたと云う。ネット検索してみると15日午後1時前に亡くなっていたと知る。悪性リンパ腫で入院されていた由。67歳という没年は最近他界が伝えられるジャズミュージシャンの中ではずいぶん若い。知人の知人として酒席で(いつも薫風書林佐々木君同席)何度かお会いしただけだが(福居さんには記憶されていなかったと思うけれど)残念なり。オリジナル曲の「メロウドリーム」が好きで、75年に入試で上京した際、渋谷のジャズ喫茶〈音楽館〉でアルバム『メロウドリーム』をリクエストした覚えがある。70年代後半のある年の瀬に東京から伊達に帰郷する前に札幌在住の友人川南宅に遊びに来ていた折、たしかクリスマスの夜だったが、札幌のジャズ喫茶〈ニカ〉で福居良トリオを観た筈だ。82年から札幌に住み、86年に古本屋を開いた後も、自分の知人のOさんが福居さんと昵懇となったことが縁で何度か演奏を聴く機会に恵まれた。薫風佐々木君と一緒にホールで観たコンサートやご自分のお店〈SLOWBOAT〉でのピアノや、三吉神社座敷での「日本酒の会」(という集いが酒屋さんの主催で20数年前ぐらいにあった)でのアコーディオンの演奏などどれもヨカッタのだが、自分としては、ススキノの何処かのビルにあった飲み屋で突然始まった福居さんのピアノ、名前をいま思い出せないが当時在札していた(後に東京に移り実力を知られるようになったのではなかったか)外国人のドラム、元ベーカーショップブギーのボーカルの人(?)が「スタンド・バイ・ミー」を歌った夜のノリノリの楽しい雰囲気が印象深く懐かしい。数年前にAM ラジオで放送していた毎週日曜夜10時ぐらいからの番組「福居良のメロウドリーム」で声を聞き、お元気そうで何よりと思っていたのだが……。惜しい。そしてやはりちょっとサミシイ。

 午前3時半就寝。