須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

木曜 新年会・八木義徳書誌・悲惨な結末

 午後2時、東海地方の古本屋さんから注文電話で起床。10日前に注文した本が届かないがどうしたのかと云われるが、その覚えなし。見ず知らずの古本屋さんから、売価3500円本を3000円だったら買いたいという客がいるから検討してくれというメールが突然来たので、組合加盟業者であるのを確認し、じゃ今回だけ卸値2700円で送料450円とさせて貰いますがどうでっか、と返信したところがその後音沙汰なしだったのだ。あらためて注文貰う。他に金星堂『現代随筆全集第十二』(昭和10)に受注あり。

 牛乳、カフェオレ、紅茶、冷水。12時現在、曇り、−3・3℃、湿度51%、(最低−3・0、最高−2・1)。種畑さんから新年会のお誘いメール。電話で小笠原君を誘うが来週は福岡に出張(?)の由。梱包2。5時、郵便局往復。冊子小包出す。うどん茹でるが食ってる時間がないので放置し、結局起きてから何も食べないまま5時半過ぎに出。地下鉄で札幌駅へ。

 6時5分、JR札幌駅南口モニュメント前着。土合弘光さんと真駒内石山堂中野さんに合流。土合さんとはメールや郵便での交流はあったがお会いするのは8、9年ぶり。髪が白くなられた以外は昔と変わらず、血色もよくお元気そう。

 パセオ内の大きな居酒屋(?)<丸海屋>へ。生ビールで乾杯。土合さんから『心には北方の憂愁 –八木義徳書誌- 1933ー2007』(2008年11月25日発行)と『文学の鬼を志望す 八木義徳展』パンフレット(2008年10月18日発行)の二冊を頂き感激。どちらも<町田市民文学館ことばらんど>の刊行。パンフ、見たことのない写真ばかりで嬉しい。土合さんの三冊目の八木書誌となる今回の本、311頁の充実ぶり、持ち重りのする厚冊で、こちらの頭も下がる。中野さんがサインをお願いしたので自分も便乗。また昨年暮れギリギリに出た自分も寄稿の南陀楼綾繁さん編集『山からお宝 本を積まずにはいられない人のために』をすでに入手して読んでおられるので驚く。山口瞳書誌専門家中野さんと交わされる、書誌に完璧はあり得ない、だからこの仕事に終りはない、などの話を横で聞きながら飲みかつ食べる。昨夜の、佐々淳行を演じた陣内孝則がカッコよすぎの東大闘争ドラマの話題も。中野さんによれば細部が極めていい加減であった由。ビール二杯の後は日本酒燗酒をハイピッチで(と云っても土合さんを除く飲んべえ二人で)。牡蠣鍋、牡蠣フライ、焼鳥盛り合わせ、焼きギョーザ、明太子オムレツ、ラーメンサラダ、漬物盛り合わせを肴に。土合さんは牡蠣好きだそうで、最近も釧路の息子さんが送ってくれた牡蠣を生と軽く焼いての二種で堪能された由。日頃の牡蠣パワーのお陰でお肌もツヤツヤしているのか思う。いい息子さんをお持ちですねぇ、との感想から中野さんがご自分の子供さんたちのことを話題に。親をやってる人はエライなあと真実思う。土合さん、毎日11時就寝6時起床の由。自分も少しは見習おうと思う。最後、牡蠣鍋の残りにうどんを入れて〆る。お二人に御馳走になる、土合さんがJRを待つ間に数軒隣の<スターバックス>でコヒー。中野さんに御馳走になる。

 握手を交わして土合さんを見送り後、地下鉄でススキノへ、<焼鳥じゃんぼ>に寄港。ボトルを中野さんが入れていた芋焼酎をお湯割で飲む。肴はおひたしとポテトサラダ(?)。途中、中野さんが、三宅愛してる、とマスターを抱擁、ぶちゅ、とキスシーン。そうか、そういう仲だったのか。20年前ぐらいに自分も飲み屋で、唐沢・ソルボンヌ夫妻前に薫風書林佐々木君と接吻を交わして随分喜ばれた覚えがあるが、男たちの愛って突然炎のごとく燃え上がるのねえ。

 零時、自分の友人達が入れたのだが、スガ名義のボトルがありますからと55ビル<Lawdown>へ。9月12日に入れた筈の八割方は残っていた筈のバーボンウィスキーがすでに流れていて愕然。サービスで出されたマスター特製のコーヒージン(だかコーヒー焼酎だかウォトカだか)を二杯飲んだところで以後記憶跳ぶ。

 その後、関係者の証言によると、赤ワインのボトルを空け、タクシーで2時過ぎに帰宅した模様。タクシー降りた所で転び、顔ごと雪の中に突っ込み、メガネと目蓋の間に雪を挟んだまま家の中に入った模様(翌日起きると脛に痛みあり数箇所カスリ傷発見)。着替えて横になってほどなく嘔吐。悲惨。無惨。赤い吐瀉物を見た妻は血を吐いたのかと呆然とした由。妻が後始末。何でこんなになるまで飲むのかねえ、何でこんなになるまで飲まんとダメなのかねえ、今度からどっかに泊めて貰いなさい、帰って来るんじゃない、とのご意見を浴びながらトイレと寝室往復数度。じゃんぼの2千円以外全部奢られた。有り難い。が、もったいなくもすべて喉の外へ戻してしまったのであった。戴いた二冊は亡くさなかったが。噫々……。