須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 セリ、電話、越冬蛾

 午前7時半起床。レトルトカレーライス、冷水、牛乳にて第一食

 第一書庫に潜り、セリに出品して金になりそうな雑誌を掘り出す。函館で出ていた短歌雑誌『海峡』の大9年創刊号から15号まで不揃い9冊。これは代田茂樹さん(狸小路?にあった古書店尚古堂二代目店主であり歌人)の記名ありで旧蔵書らしい。『古典風俗』創刊号(昭9)、『生活』(昭14)、『性』(昭7)、『近世庶民文化』(昭28)、渡辺淳一『阿寒に果つ』ヒロイン加清じゅん子(実弟は詩人の暮尾淳さん)の実父が発行していた児童向け雑誌『ひばり』(昭21)2、4、5号の3冊、『書物』(昭8)1、2号2冊、『読書展望』(昭22)、『映画』創刊号(昭和21)、『北中文藝』(昭3)、青森郷土誌『うとう』(昭8、表紙・口絵:棟方志功)の口絵が欠なのか否かよく分からない3号1冊、文藝誌『湖上』(大14年、札幌刊)、ずっと後の1970年代に北海道知事になった堂垣内尚弘の青年時代の創作が載っている『破穀』1号(昭6、札幌刊)など全部で26冊他。15分ぐらいで終わるかと予想していたが倍以上費消。紙袋に入れて家を出る。金になりそうな在庫がどんどん失われてゆき、もう枯渇状態。干上がるワタクシ。

 地下鉄で大通。事業部員の集合時間より30分近く遅刻して9時半、頓宮神社着。通常は使用していない1階ロビーのソファに理事さんたちが座っており(後から知ったところでは新人さんの面接とか)、「遅れてきた中年ですみません」と恐縮しながら通る。すでに陳列終了しており、座って、持参した雑誌類を6口に分けて出品封筒に出品名、但し書きなど書いて、何点か版画など置かれている最終台に陳列。萌黄さんが手伝ってくれる。壁際にクルマ雑誌大量、文芸書の大山、机上に『立原正秋全集』、1冊欠けの『宇野浩二全集』、同『平野謙全集』、同『広津和郎全集』など出ている。理事長がマイクで面接受けていた人を紹介。体調悪しとメール来ていた薫風書林君は休み。寝不足もあるのだろうが亜本屋さんがヤツレている印象。今回は、というかこのところいつものことだが入札は1点もせず。全集、文芸書大山など随分お買い得値段で落札されていた。お客からはどういう値段を云って買って来たらいいのかと溜め息が出る。自分の出品、『海峡』は当然だが、『ひばり』がけっこういい値になっていた。そう云えば昨年の某書店目録で高く付いていた記憶もある。11時40分最終開札。会計から31640円受け取る。後片付け終えて、恒例お参り済ませ、B堂恊治君のクルマに同乗、送って貰う。旭川の村田君も一緒。顔色悪かったけど亜本屋さん大丈夫ですかねえ、などと話し合う。1時過ぎ帰宅。二人は今日これから、ドライブしたり、酒を呑んだりするという、たいそう優雅で楽しそうな行動をするそうで、自分も誘われたが、例により金もなく、多少やることもあるので断念する。

 うどん、ナットウ、冷水、バナナ2、カフェオレにて第二食。南陀楼綾繁氏より電話。来札中の友人がカードと持ち金全部入った財布を落してしまい泊まる場所もなく往生している由。とりあえず中野さんと小笠原君の電話番号を教えるが、一旦切った後、中野さんの店が定休日であったのを思い出して自宅の番号を知らせておく。30分ぐらいして解決したとメール来る。結局、友人が彼の友人に連絡とり、そちら宅に厄介になることになった由だが、その前に通話した小笠原君も快く宿の提供を承諾したそうで(中野さんは留守)、昨夜自分の体調悪そうだったのに、あらためてなんとも人格者というか、そのフトコロの広さに感心する。イイ人だなあ、とナンダロウ氏も云っていたが、性格だけでなく、現在は主に『北方ジャーナル』に書いている、その文章もオモシロク、実にイイのである、小笠原淳。

 梱包6。受注、カー『時計の中の骸骨』HPB、『芥川龍之介』角川近文鑑賞講座、河井酔茗『生ける風景』春陽堂文庫・昭7。

 9時半、食パン1、クリームチーズ、バナナ1、紅茶にて第三食。越冬したのか蜉蝣する蛾を一匹発見。♪ヒュルリ〜、ヒュリララ〜、と口ずさむと、「森昌子?あれは越冬つばめ、これは越冬蛾だって」と妻。確定申告やろうとしたが眠くて出来ず。今日の気温−3・1〜−0・1℃。眠たくても疲れていても悪い頭がさらに働かなくても酒は飲めるのであって、零時半から、エビチリソース、ブロッコリーマヨ焼き、キャベツと鶏肉蒸し、目玉焼き、ダイコンおろし、ウィスキーお湯割り3、玄米茶。午前2時半就寝。