須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

日曜 『静かな大地』誕生余話

 午前9時目覚め。10時過ぎ起床。牛乳、紅茶、冷水。12時現在、15・8℃、湿度55%、予想最高気温16℃。11時過ぎにチャイム。先週に続き、東社会保険事務所の人。妻の年金免除申請がまだ出ていない由、提出して下さい、と用紙を支給さる。日清鶏即席麺、ナットウ、冷水にて第一食。
 今日も隣りの幼児の声スゴい。秋になって窓が閉じられてからも、壁を通して、キィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!、ピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!と聞こえて来、神経にキリキリ、ヤスリかけられている感じ。いやはや。あの両親の忍耐力は大したものだと感心する。自分であったらもうどうにかなっている、子供か自分のどちらかが。
 1時半、家を出て、地下鉄で西18丁目へ。接続悪く、予定より、20分遅れて2時10分、道立近代美術館到着。場所を変えて、池澤夏樹講演の二日目。昨日の三倍の定員240名の会場。今日のテーマは「『静かな大地』誕生余話」。どちらかというとやや散漫な印象の昨日の話に比べてはるかによかったし、ご本人の話し振りにも熱が籠っていた。昨日が前菜、今日がメインディッシュという感じさえ受ける。敗者にも、滅ぼされた者にも歴史があること、また、未来永劫勝ち続ける者は地球上にいないということ(というふうに自分=スガは受け取った)。小説の取材を母方の親族や、萱野茂さん他からされた由だが、印刷物の資料は、北大前の「大きな古本屋さん」と帯広のS堂さんから集めたり、静内(?)であったかの郷土史家の方が積極的に提供してくれた由。また今日も、隣りの女性がメモとりに精を出していた。講演は1時間。あと30分は朗読タイム。「静かな大地」巻末に置かれているという、作家が創作した作品内のアイヌ民話と、短篇「最後の一羽」。終了後、明るくなった会場を眺めていると、古本屋の奥様がお二人、北大ロシア文学のK先生他、何人か見知った顔が。
 実を申さば自分、芥川賞受賞のかなり前に出ていた詩集「塩の道」(1978年 書肆山田)はけっこうな値段をつけて売ったことがあり、恩恵に与っているというのに、作品は、お父さんの方の小説は九割方読んでいるのだけれど、ご本人のは読んだ覚えがないのである。それなのに講演に来ている不届きもの。
 歩いて11丁目の<さっぽろ萌黄書店>さんへ。奥さんも講演から帰って来たばかりだそうで、すると古本屋のオカミさんが三人も出席していたわけだ。偉いものです、皆さん。萌黄書店さん、ご夫婦でネット受注の本を探しており、忙しそう。少し話して辞す。ブックス21の番頭さん大西君が近々退職し、開業間近の由。
 地下鉄で札幌駅へ行き、<ヨドバシカメラ>、<ベスト電器>でクリップ・ライトを調べて帰途に。6時過ぎ帰宅。牛乳、紅茶。池澤展のチラシ見直したら、十二(の他に読売文学賞も受賞しているので正確には十三)も賞を貰っているのを知る。ひぇ〜、この数字はちょっとスゴイんでないかい。8時半就床。二階のお子様がウルサい。10時就寝。断酒。