須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 作戦また失敗

 7時半起床。うどん、ナットウ、冷水、カフェオレ、おやき。昨日のニュースによるとキース・リチャーズ退院の由。晴。暖か。<Maxvalu>前待ち合わせ。萌黄さんのクルマに同乗、頓宮神社へ。

 9時から12時、札幌組合月例交換会。じゃんくまうすの太田さんから古新聞を一袋貰う。インコの籠用に使うもの。

 戦前の山岳書が20冊ぐらいで出品されていて、買う気はないが、、昭和8年発行の『山と渓谷』20号をぺらぺらめくって楽しんでいると、裏表紙一面にサロメチールの広告を発見。「山の魅惑、旅の愉悦、・・・旅行・登山にはお忘れなくサロメチール」というコピーに写真。この時代にすでにサロメチールという商品が存在していたのを知る。他に日東紅茶や明治ミルクチョコレート、パインの缶詰、コンビーフ、テントなど登山用品などの広告が掲載されているが、それらを制して、最も目立つ裏表紙に載せられるほど売れ行き好調であったようだ。また同じく『山と渓谷』昭和6年発行の6号には「山の古本は三田の清水へ 清水忠雄書店」という小さな広告もある。新刊、古本共に、本屋が根付かないと云われる慶応大学の近くに当時、山岳書の専門店があったらしい。(帰宅してネット検索してみるとサロメチールは大正10・1921年に東京田辺製薬から発売されていた由。また清水忠雄さんの方は、『全古書連会員名簿』で調べると港区芝に<清水書店>が現在も営業している。御子孫であろうか)。

 他に美術の評論書の口、舞踏家大野一雄のヘンな生写真集、「金子光晴全集」、「瀧口修造コレクション」、昭和27年、28年頃の『講談倶楽部』他の大衆小説の2本口、戦前の『少年倶楽部』20冊くらい、映画ポスター、戦前から40年代ぐらいまでの釣りの本の山など出ていた。『少年倶楽部』は状態よく、いい値段になっていた。◯◯書房に落札されたのを手に取って見ていると、△△堂さんが近づいて来て、「いくらになったの?」「◯万です」「ふ〜ん、あんた買ったの?」「いいえ、◯◯さんが」「じゃ、いつまでも触ってなさんな、未練たらしいね、ほんと」。すみませんね。どうせ、あたしにゃ買えませんですよ。プレスリー他の映画ポスター、専門店Rさんが落札。釣り本は高校時代の友人に頼まれているが、専門ではない自分には山はとても買えない。やはり毎回たくさん仕入れしている3、4店が今日も元気である。自分は大衆小説雑誌と金子全集に安札を入れる。結果何も買えず。第一回開札の発声を担当。来月から新体制になり、事業部員も入れ替わるので、自分の準事業部員の仕事も今日で終了。

 総会の前にランチタイム。2千円の豪華お弁当が当たる。薫風書林が、お盆とクリスマスとお正月が同時に来たようだ、これで御飯5杯は食べられますよ、と云うほどオカズ品目が豊富なのであるが、御飯がほんの少ししか入っていないのが欠点。それにしても、自分としては昔(7年ぐらい以前?)のように缶ビールがつかないのが実に実に残念なのだ。アルコールの勢いで議論があまりに白熱するのを懸念してか、単なる節約、つまり、わが組合がシミッタレてしまったのか、貧乏になってしまったのか、いつからか缶ビールは姿を消し、お茶ペットボトルのみが配られ、今ひとつサミシイお食事会になってしまったのである。古本屋さんたちの心意気は何処へ行ってしまったのだ。さらに、今年は、極秘裏に進めていたわが作戦が一つ水泡に帰してしまったのだ。毎年この会合で出される弁当が必ず余るので、ブックオフの黄色い大きめのビニール袋を昨夜から秘かにバッグの中に用意してきたというのに、今年は一個も余らなかったのである。逆に一ヶ足りなかったのである。それで危うく血を見る騒ぎになりかけた、というようなことはさすがに大人の古書組合、起こらなかったのであるが、それはともかく自分としては、我が家の夜のオカズにしようと宛にしていたのに。妻に持ち帰ろうと計画していたのに。家では腹を空かした妻とインコが自分を待っているというのに。なんとも惨いヘルプレスな仕打ちではないか。うくくっ。予定狂う。何処もかしこもシミッタレてしまっているぞ。ああ、古き良き(?)古本屋さんたちの心意気はいったい何処へ行ってしまったのだ。しんから寂しいぞ。

 1時から3時、総会。新理事長の決定。現存作家の原稿扱いについて、組合規約の見直し、合同目録「札幌の古本屋」の継続について、等。

 総会終了後、3時半から5時、三条ビルのA本屋さん手伝い。ビルが改修工事中のため、A本屋の本と本棚、額縁類を一部別の部屋へ運ぶ。また、埃にまみれる。2千円とバナナ1、自販機緑茶いただく。

 南平岸<ローソン>でコピー10円。<Maxvalu>で買物。トイレペーパー、キッチンペーパー、計546円。6時15分帰宅。

 7時半から9時入浴。21時現在、晴、17℃。日記。受注1件、加藤郁乎「えくとぷらずま」。もう一件。並木路子自伝「リンゴの唄」。受信した直前の「その時歴史が動いた」で並木さんのことやってたからなあ。メール7件に返事。

 12時頃、注文の返信メール書きながら何度か落ちる。鳥ナンコツ唐揚げ、イモフライ、ワカメサラダ、エリンギの塩焼きで、水割り。今週は三日連続外出、明日から引き蘢る予定。5時就寝。