須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

郵便局と私

 午前11時に目が覚めたが、もうしばらく横になろう、と思っているうちにまた眠り、結局2階の子供の駆け回る音で午後2時半起床。騒音1時間続く。15時現在、22・7℃、湿度67%、南南東6m/s。

 メールチェック、ネット徘徊しながら、即席麺、甘納豆、カフェ・オ・レ、冷水で第一食。妻目録に水曜日来ていた注文の梱包。と、たったこれだけのことをしているうちに6時近くとなる。

 普通小包を1ヶ出す毎に1枚貰える「ゆうパックシール」10枚を貯めると、一回分の送料が重量距離に関わらず無料になるというサービスがあり、これまで何度も利用していた。むふふ、タダだもんね、無料だもんね、また。と、今回も何かとても得した気分でシールを貼ったカードを郵便局の集荷係に差し出すと、すでにこのサービスは終了しているのですが、と告げられ、自分は狼狽した。がっかりした。どころか、計画狂い、予定していたタダが予想外の千数百円の出費となり、鳩尾の辺りにボディブロウを食らったようなダメージを受けた。何ということだ、郵便局の野郎、自分に断りもしないで、それはあんまりじゃないか、そうまでして須雅屋をイジメたいのか。わかった、わかったあるよ。これからはな、見てろよ、12時間じゃなくて20時間寝腐ってやるからな。そうなってから、私どもが悪うございました。なんて頭下げて来ても遅いあるからな。と、集荷係に金を渡しながら、世間を呪う内的独白をしていたのであるが、そういえば、小包の価格も重量ではなく大きさの区分けで決定するシステムに1年程前から変更されていたのであって、シールがいつから無効になったかは定かではないにしろ、またしても我が家が一般社会から取り残されていたという現実を突きつけられたのは確かなのである。

 というふうに、さんざん憎々しげに書いてみたけれど、誤解なきように大急ぎで補足すれば、自分は郵便局の方々には概ね好意を抱いているのである。19年前に開業し丸二年営業していた店の側にあった場所では、見るからに性格の暗そうな局長がいて、そのキャラクターが局員全体に伝染でもするのであろうか、しばしば不愉快な待遇を受けたこともあったが(あちらの方々もこちらを暗ぁ〜い男だと見なして関わりにならないようにしていたのかもしれないが)、その後は今日まで郵便局さんとは、底辺の古本屋ながらも良好な関係を保ってきた。何より、局内では銀行のように金の有る無しで人間であるかどうかの区別をしないし、寓居へ集荷に来てくれる局員の人たちも、中には小包の計算の遅い人もいないわけではないが、皆ニッコリ、おっとり、親切であるのであって、仕事は迅速であるが態度言葉使いは横柄、生意気、時として邪険でさえあると感じる某◯◯◯運輸の運転手たちとは、比較にならないほど親しみを感じていたのである。だが、効率のみが追求される体制になればニッコリ、おっとり、親切にしてくれていた人たちの対応も変化せざるを得なくなる筈で、或るいはそういう人たちの中から馘首される局員も出てくるのでは、と他人事ながら心配されるのだ。

 6時、NHK・TVの「週刊こどもニュース」をラジオで聴く。この番組がテレビで見られなくなったのは情報弱者としてとても辛いところである。日本の政治からイラク情勢まで、基礎的なところから懇切丁寧に説明してくれるので、なぁるほど、そうだったのか、と(大人の中では自分に限ってかもしれぬが)納得するところ大のとてもお勉強になる番組なのだ。かわって大人のニュースによれば星野仙一が記者会見、来年もSDとして阪神残留の由。そうか、それで安心した巨人の選手たちが試合中溌剌とした動きを(ラジオで聴くところによれば)見せ始めたのか。

 <楽天>へ16点UP。シャワー浴びて後、1時、第二食。2時からネット徘徊、3時から日記を書く。

 午前6時現在、15・8℃、湿度79%、南南東の風1m/s。本日の予想最高気温28℃まで上がる由なので、涼しいうちにと思い立ち、7時、衆院選の投票へ行く。よく晴れた涼しい朝の道を歩くのは快感。このあたり、霊園を囲んで樹々や雑草の多い地域なのだが、また、草深いそれらの緑の蔭は死体を放置しておくのにも適している場所であるのをこの朝の散歩で確認す。これが日本ミステリー史上に燦然と輝く衝撃の傑作「霊園古本屋殺人事件」誕生の瞬間であった。ジャーン。なーんちゃって。けれど、殺されるのは誰なのか?古本屋が殺されるのか、それとも殺すのか、或いは古本屋が妻を、いや、古本屋の妻が夫を・・・などど想を練っているうちに投票場の平岸高台小学校へ入場したのが7時20分、すでに老人夫婦、家族連れなど、続々来ている。死に票になるのが分かりきっている候補者の名前を書いて投票箱へ。帰り、霊園で作業する造園業者らしき人二人がもう準備を開始しているのを見て我が身を恥じる。7時40分過ぎ帰宅。
 横になり読書少し。9時就寝。断酒。