須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

垂涎しながら痩せ我慢

 12時半起床。曇り。昨日よりはしのぎやすし。  
 昨日のように他者に気兼ねすることもなく、好きな時間まで眠れたので、疲れがとれたようだ。こんな自分であっても遠慮があり、さすがにあまり眠れなかったのである。と、これを横から覗いた妻が、ノーノー、と言いながら顔の前で手を振っている。少なくとも人間には、棺桶を入れたり墓を建てたりする面積の土地はともかく、足をのばして眠れる自分専用の場所は第一に必要であるらしい。

 電子レンジうどんで第一食。水、カフェ・オ・レ・、紅茶。

 <ラクテン>へ7点UP。水曜日に市場で仕入れた詩集の中に混ざっていた寿司の本など。旧蔵者は函館在住の人なので寿司についての蘊蓄を仕入れようとしたのかも知れぬ。うち、有名店主の寿司談義「すきやばし次郎 旬を握る」を斜め読みすると、目の毒とか、うらやましいとかを通り越して、なにかムカムカしてくる。その寿司のみならず、この本自体の値段ももっと高価に、例えば2万5千円ぐらいに設定すべきである。そして、古典籍や書画を扱う古書籍商◯◯閣のように、紳士録に掲載されている経営者だの、医者や弁護士といった階層にカタログを送付して、まず本そのものを限定販売すべきだ。そうすればビンボー人は手にとることもなく、一生暖簾をくぐることもないのにカラー写真だけ見て、生唾ごっくんの空しきアコガレを抱くこともないのである。「グルメ本とは、路線変更したの?」と口を挟む妻に、「なんでも幅広く扱うんだよ、これからは」と答える。

 だんだんと窓の外が暗くなり、4時頃から雨となる。客を待つ店舗のない気楽な身分であってみれば、道路も緑も洗われ、涼しくもなるので、たまさかの雨は大歓迎。

 夜の9時過ぎ、一時あがった隙をついて鳥と人間のエサ買いに出た妻は、しばらくしてまた激しく降り出した雨にさんざん濡れて帰ってきた。自分が日記書きに専念していると、「よし、僕が行くよ、とも言わないんだからな、あーあ」とか言いやがるので、「なあんだ、それならそうと、頼めばよかったのに」と言い返す。自分だって、そんな冷徹な男ではない。頼まれれば、まだ疲れているであろう妻の身体を労って代わりに買物に行く、血も涙もある人間なのである。と、これを横から覗いた妻がまた、ノーノー、と言いながら手をふっている。

 サッカーはコンサドーレ札幌2×横浜FC0といい案配なれど、野球は日ハム1×ソフトバンク5。ロッテには連勝しておきながら、ソフトバンクには負けるとは、孫正義を利するだけではないか。なんということだ。 

 シャワーを浴びて、日本酒、水割り。<はてな>からトラック・バックのメール。<古書現世>さんが須雅屋の日記を紹介してくれていたのである。ありがたし。直後から、飛躍的にアクセス数が伸び始め、自分は思わず鼻の穴を膨らました(と思う)。坪田直子。好きだったんだよなぁ。