須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

塚本邦雄とヨサコイの思い出

 午後起床。曇り。

 妻から塚本邦雄の訃報を聞く。ネットでみると9日に亡くなっていた。84歳。たしか自分の父親も同じ年である。平成2年の雑誌『歌壇』での前登志夫との対談で、毎朝散歩中に寄る公園のベンチで歌を必ず一首作っている、と語っていたのを思い出す。塚本邦雄がいなければ、歌人寺山修司も春日井健もまたちがう寺山や春日井であった筈で、天才と呼ばれるにたる質と量の創造をもろ共になし得た希有の人だと思う。そういえば、十数前、上京し訪問したある人のお宅で、数々の秘蔵本と共に、第一歌集「水葬物語」の三島由紀夫旧蔵書(たしか三島宛て献呈署名入りであった)を拝見したことがあった。三島さんがお気に入りの歌の上に◯印のチェックを入れていたのが印象的。ああ、あの本が今、手元にあればなぁ、と途端に自分の感慨は散文的になる。ウチであれば一年は食えるのになぁ。

 ヨサコイソーラン祭り本日最終日、海外含め(台湾、韓国あたりだと思うが)、334チーム、4万3千人が参加した由。この他に見物のために来札した観光客も何万もいるんだろうから、その経済効果たるや絶大なものがあるのは商才のない自分にも十二分に分かるのであるけれども、断言するが札幌の古本屋への恩恵はほぼゼロに等しい。店売りをやっていた頃の経験から言わせてもらうと、すすきの、狸小路などの二、三の店を覗いて、北大前など他地区にある古本屋には微塵も好ましき影響はなく、自分などは踊り手、見物人の移動のために通勤の地下鉄がずいぶんと混むので、ただ迷惑なだけであった。こちらが売上げ寂しく、フトコロ貧しく帰る地下鉄に、派手な衣裳の酔っぱらった男女らが大挙して我が物顔で乗り込んでくるのを微笑ましく眺めていられるほど、心の広い、度量の大きい人間では、あいにく自分はなかったのである。

 オリックス7×横浜8、西武3×巨人19、日ハム10×阪神3でハム12連敗免れる。

 ラクテンへ16点UP。断酒。