須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

先生と私

  午後起床。晴。あたたか。

  プルーストがご専門のH先生からお葉書。2週間ほど前にお送りした拙作掲載の『彷書月刊』へのお礼と励ましの言葉をいただく。先生が『文學界』に書かれたエッセイで奥様を亡くされたことを知り、もうずいぶん前の物であるが送付させて頂いた。かつての教え子の端くれの端に(も属しはしないであろが)いた男の、阿呆な人生の一旦を綴ったおバカな文章で、少しでも笑って頂けたらと考えてのことだった。もとよりご多忙の毎日、何の親交もない輩からの献本などはご迷惑かもしれず、またお送りしたからといって読んで頂けるとも思ってはいなかったが、感想を下さったのはやはりうれしい。友だちと言いうる知り合いも少ないが、先生と呼べる人の皆無な自分にとっては殊更に。拙作の文体について触れて下さり、「きっとこれまで努力されて来られたのではないかと思います」と書かれてあるくだりでは恥ずかしさに尻の辺りがむずむずし、同じく目をとおした妻からは皮肉な視線が向けられたものだ。何故なら、一生懸命とか、死にものぐるいとか、継続はなんとやら、という言葉に見合う、努力らしい努力をした自覚が、この人生で一度もないからである。で、あるからして現在の自分があるのである。まことに因果応報、北辺の吹きだまりに淀んでいる一人の古本屋がいるのである。

 妻から倉橋由美子の死を聞かさる。69歳。センセーショナルであったらしいデビュー作「パルタイ」単行本の黒地に赤字のカバー、ビュトールの真似をして「あなた」という二人称を採用した「暗い旅」、他の女性作家の何人かにも見受けられる傾向の回想であるが、若い美貌の(とは記していなかったかもしれぬけれど)才能豊かなご自分のまわりに自然に男たちが集まってきて(ホントかよ)、女王のようにチヤホヤされたみたいなナルシーな文章が収録されていたと記憶する(うろ覚えであやふや)エッセイ集「わたしのなかのかれへ」が印象的。あと、ご本人には関わりのなきことなれど、ウチの死んだ母親の面影がちょこっとあったのだ、この人。

 横浜2×ソフトバンク6、広島0×日ハム3、鎌倉というのが好投、楽天×3巨人9。マイケル・ジャクソン全面無罪。プリンスが出てきた時は裏マイケルとか言われたもんだけど、今や、どっちが裏なんだかわからない、どっちも表と言ってもいいが、どちらがダークなヘンタイかというと.........それは、あなたです。

 ラクテンへ20点UP。断酒。6時就寝。