須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

月曜 トイレ前の怪事件

 春分の日。振替休日。

 夜、帰宅した妻からまんだらけの情報とブック・オフ大通り店トイレ前の怪事件を聞く。まんだらけ。本を売りに行ったが想像以上にいい値であった由。

 また、ブックオフ大通り店のトイレ、店内にあるのではなく、テナントとして入っているビル共用のもので清潔であり、自分もあのあたりに行った時は利用させてもらい、重宝しているのであるが、妻がそこの女性用(当たり前だ!)へ入ろうとしたところ、待ち伏せするがごとくにトイレ前に立っていた大柄な女が「すみませ〜ん。失礼ですが女性の方ですよね?」と話かけてきたという。「はぁ?」とたじぎ、「いくらなんだって、それは失礼よ」とムッとしたそうであるが、その化粧の厚い女がすぐに女装した男であることがわかり、「あの〜、お願いがあるんです」と言われて、今度は警戒した。頼みというのは或る番号へ電話をかけて欲しいというもので、 妻は他にもう一軒行き先もあるし、さすがに断ろうかと考えたが、是非にと乞われて、1時間後にまたブック・オフで落ち合い(ここいら辺が我妻ながら、ほんとうに心根が美しいというか、お人好しというか、または率直に言うとバカなところなのであるが)、件の場所へ「ヨコシタさんですね。浅草グランド・ホテルに一名でいいですか」と指示された言い回し通りにオカマさんから渡された携帯で電話したが、あいにく繋がらなかった由。「きっと居留守を使っているんだわ」と彼女は悔しそうに言い、 「お世話様でした。ごきげんよう」と去って行ったそうだ。知らない人には付いていかないように、自分は注意した。でも、何故浅草なのだ?なぜオカマ?なぜ浅草?浅草裂くべし!

 入浴時、約五ヶ月ぶりに散髪してもらう。頭が軽くなって近年になく気分爽快、仕事も昨今の十倍ぐらいはやれそうな錯覚を覚えるほどなのであるが、何か元来が軽かった頭の中身までも軽くなったような感じがしないでもないのである。