須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 小笠原淳氏について

 正午ちょっと過ぎ電話受注。『標語スローガン事典』1千円。出版社に在庫問い合わせたら、すでに品切だが、札幌の須雅屋という古本屋にあると教えられた由。二度寝。午後5時起床。曇り。涼。牛乳、カフェオレ、紅茶にて第一食。15時現在、曇り、17・5℃(最低17・0、最高18・1)、湿度78%。梱包1。午後8時、カップ麺、ナットウ、冷水、トースト2ベビーチーズ、ミニあんパン1、紅茶にて第二食。11時〜入力。1時、豚アスパラ巻きフライ、豚中落ちとネギ塩焼き、蒸しキャベツ、キムチ、カニだしみそ汁、米飯、玄米茶で第三食。

 拾い読みしながら入力続き。一雄と士郎のダブル尾崎が出していた雑誌『風報』の昭和30年代のもの。52号に松尾順という文学好きで貸本屋さんをやってた人が書いているのだが、この人は上林暁を崇拝しており、「聖ヨハネ病院にて」63枚の原稿を伝手を通して『人間』編集部から貰い受けたらしい。ハッキリ云ってほとんど単なる自慢話だが、今だったら一財産であり、暢気でいい時代であったものよ、と感心。53号に村上菊一郎「野田君のこと」。限定本で有名な野田書房主野田誠三は28歳で服毒自殺していた由。女性問題で悩んでいたらしいが、いま毒をのんだ、と友人の成瀬正勝(第3回古本小説大賞受賞成瀬正祐さんのおじいさん)に電話で知らせて来たというのだから覚悟の自殺であったのかどうか。59号には八木義徳「木田金次郎氏のこと」。ところで自分の友人に小笠原淳君というフリーライターがいるのだが、彼の極めてユニークなウェブログ『小笠原劇場』のコメント欄だったかメールフォームを通しての通信欄だったかにある時、「詩の朗読の他にもいろいろご活躍だね。スゴいなあ」とかいうひどく親しげな、もっと云えば実になれなれしい言葉が見ず知らずの人から寄せられたことがあり、ん?と自分の知る札幌在住小笠原淳氏は怪訝に感じたらしいが、調べてみるとどうもそのコメントは、テレビ放映もされた数年前の「詩のボクシング」本戦出場者に小笠原淳選手という人がいて、その知り合いさんからのものであるらしいと推測されたのであるけれど、現代の日本には声優さんや多摩美大卒業生や草野球選手などにもいろとりどりの小笠原淳氏が存在しており、おのおの差別化を図っているらしいとの情報もあり、札幌の小笠原淳氏を知る者としてもなかなかこれ油断できないのであるが、今、入力した『風報』94号にも小笠原淳氏が「好色豆本あれこれ」なる一文を寄稿しているのだ。この小笠原淳氏は当時、静岡豆本を出していた人らしい。粋人ではないか。文化人ではないか。のみならず「豆本仲間で高く評価されている森口太郎の萌黄豆本は先頃の弘南堂古書目録第四号によると五冊揃い七千五百円とあって既に高値を呼んでいる」という札幌の古本屋には、少なくとも自分には興味深い記述があるのを発見して深夜一人楽しませてもらえ、さまざまな活動を続ける小笠原淳氏の測り知れない奥深さをあらためて認識したりしたのである。99号に掲載の河盛好蔵「北海道の旅」では、日本中で北海道が一等好きな土地であり、北海道は何処でも好きだが中でも小樽がよく、小樽はブルターニュの海岸地方に似ていると書かれており、まっ、真冬には来てない旅人なのだろうな、ふっ、と思いつつもちょっとばかり嬉しくなったりするのだ。

 8時、19点UP。豚中落ちネギ焼き、目玉焼、蒸しキャベツ、キムチ、米飯、ネギみそ汁、ミニチョコロールケーキ、紅茶で第四食。書見少。午前10時就寝。