須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 交換会、浪速さん

 午前7時半起床。うどん、ナットウ、冷水、ミニあんパン1、カフェオレ。8時35分出。地下鉄で大通。9時5分、頓宮神社着。

 本日、古書組合交換会11月の巻。例によって赤帽車は引き上げ、荷物はすでに全部2階に上げられ、ホールで事業部員と理事長以外の理事さんたちが集合し、仏教俳句書道関係(?)の一口ものを区分けし紐で括っている最中。自分も縛りあげた物を会場の部屋へ運ぶのを手伝う。特選市延べ勘分半分35680円支払う。最終台に内村鑑三の原稿が出ている。高橋睦郎「汚れたる者はさらに汚れたることをなせ」ほか詩集約32冊1本口、庄野潤三小沼丹の1本口、啄木全集8冊揃いと文庫、の三点に入札。いずれも安札ばかりなので1点も落ちず。◯◯さんが買った啄木全集の口から角川文庫『津村信夫詩集』と戦前春陽堂日本小説文庫・乱歩『盲獣』の二冊分けて貰う。全体の出来高はまあまあだった模様。本日は薫風氏を始めロフト古書の街のメンバーの落札が目立ち、いつにも増して薫風氏は終始ニコヤカであった。いやあ、金の余裕は人の心を豊にするものであるなあ。自分もいつか豊な心で人に接することのできる人間になりたいものである。

 市英堂、弘南堂、薫風書林旭川村田さん、B堂恊治君に道新の結果のお知らせする。市英さんから浪速書林梶原さんの訃報聞き驚く。75歳だった由。。おそらく十数回は酒席を同じゅうし(こちらは端っこの方だけれども)そのうち何度かは御馳走にもなった筈。あんなふうに市場で華々しく買ってみたいもんだなあ、と昔は憧れた古本屋さんの一人。何故「昔は」かと云うと、途中で、オレには将来も無理、と諦めたから。20年ほど前に初めて札幌の大市に来会された時であったか、iさん出品の春陽堂版鏡花全集特製版全冊署名入を、あっ、と驚く数字で落札されて、その後の展覧会(?)目録だかに、これも、おっ、とたまげる値段で出品されていたこと(こちらが無知だったために連続で驚くことになったわけである)。これも約20年前、『雑巾先生』が市場に初めて出現した明治古典会大市一日目の夜、十数人で山ノ上ホテルのバー(?)で飲んだ折の最後、これで払うてこい、と明細書(?)も見ずに同伴していた自店の番頭さんに財布ごと、ぽい、と渡して勘定を全部持つのを見て、なんてカッコイイ、一度ぐらいはあんなふうにオレも奢れる身分になってみたい、と思ったこと。須雅屋目録創刊号(1987年)に徳田秋声『妹おもひ』(大9)、稲垣足穂『天體嗜好症』(昭3)、谷崎『近代情痴集』(大8)などたくさんの注文を浪速さんから電話で頂いた直後、同じく電話で『妹おもひ』を注文してきた神田の◯◯書店さんに「今売れました」と答えると、「業者だな」とすかさず不満気な声で返ってきたことなど、親しかったわけでもないのに思い出されること尽きず。薫風氏に、亡くなったんだって、と伝えるとやはり、ええっ〜、と驚き、浪速さんの話で朝まで飲めるぐらいですよね、との反応。しかし、書誌的にも優れた素晴らしい目録を出していた古本屋さんはやっぱりいいなと思う。本人が亡くなっても目録が残り、仕事が残るから。後は息子さんが継がれる。

 恊治君の車に送られ2時前帰宅。12時現在、雪、1・5℃(最低−0・2、最高2・6)、湿度51%。カフェオレ、紅茶、冷水。日記。15時現在、晴、0・6℃、湿度51%。4時過ぎ辺りから足元が急激に冷えてくる。胡麻パントースト12、クリームチーズ、ミニあんパン1、バナナ1、紅茶。梱包2。

 9時台、仮眠30分。零時〜1時半入浴。サッカーW杯最終予選:日本3−0カタール観る。久しぶりにスカッとする勝ち方だった。しかし前半はけっこうパスを奪われていたのが気になったが。脚が相当痛くイライラしているのかもしれないが、試合後の中村俊輔のインタビューへの受け答えはかつての中田化してきていた。4時から酒。刺身(マグロ、エビ、マダイ)、エビだし汁、ワカメとメカブとモヤシとミズナのサラダ、燗酒一合、玄米茶。書見。午前7時半就寝。