須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 交換会・武者小路全集

 午前9時過ぎ起床。ロールパン2、牛乳、紅茶、冷水。10時15分出、地下鉄で大通駅。寒。11時10分前頓宮神社着。札幌古書古書組合月例交換会に出席。10月大市分金券二萬七千円払う。古書組合費4千円払う、残2万円。出品荷物少なし。埴谷雄高全集が出ている。自分は大正12年藝術社刊の武者小路実篤全集バラ9冊を落札。総革装天金、岸田劉生装幀美装本の美本揃いで奥付に発行者廣津和郎、非売品とあるのでつい手が出てしまった。一ヶ月半ぶりに薫風書林の顔を見る。健在のよう。じゃんくさんから唐沢景子さんから配給された米こしひかり5kg一袋を貰う。本のセリ場で米の受け渡しする俺たちっていったい何?先月入った新人さんとこの女性社員さんがお茶の後片付けや雑巾がけをやっているので感心する。恊治君のクルマで1時前帰宅。再外出して<Lawson>でDION11月分4385円払い込み、<Maxvalu>でチューブ入りワサビ、ネギ、牛乳、玉うどん、カセットテープ、トイレペーパー計1351円買い寓居へ戻る。12時現在、晴、−1・3℃(最高気温−0・6℃)、湿度45%。うどん、冷水、ピザパントースト、カフェオレ、ヨーグルトにて第二食。

 ざっと調べたところでは武者小路全集の芸術社は廣津和郎がこの全集を出すがために作った出版社だそうで、あまりに装幀に凝り過ぎたために採算採れず失敗、負債を背負ったが、それを返済せんと新たな出版社大森書房を起こし、また多額の借金を作るに至った由。金と女がカタキでござるという境遇になってしまった訳だが、その後円本全集が売れてめでたく負債はなくなったそうだ。一方、武者小路は大量の文学作品の他に40歳から初めた絵を生涯5万枚描いているそうだが、それが事実だとするとその執拗さというか創作へのエネルギーにも驚かされるけれども、描かれた絵がほとんど例の野菜とか草花だとすると、つまりずっーと一種類の絵を(他にどういう絵があるのか知らないが同じ画風だとすれば)数枚平均で毎日毎日半世紀に渡って原稿執筆もやりながら描き続けてた訳で、むしろその精神に、重々しい粘着性、異常なまでのマンネリを良しとする過度の自己愛に、何か不気味なるものを感じてしまうのだが。いずれにしろ非凡なる人物であるのは間違いないところ。受注2件、ヒルトン『心の旅路』、クロフツ『黄金の灰』ほか10冊。夏に仕入れしたものなり。ようやく元とった。7時から8時1時間仮眠。韓国に新大統領。李明博(イミョンバク)とかいう人。受注3。FMでフェイセスのBBCライブ録音。ヒジョーにいい。零時入浴。タイとタコ刺身、カツオたたき、ダイコン白煮、生ワカメみそ汁、米飯、ほうじ茶。しばらく断酒の予定。午前6時就寝。