須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

月曜 特選市片付け

 午前5時15分起床。牛乳、カフェオレ、紅茶、冷水。6時前より昨日落札した俳句関係の中に入っていた寺田京子句集『冬の匙』(昭31)筆写開始。以前から気になっていた人。写し始めて興奮、これは道内ではもちろん、明治以後の女性俳人の中でも有数の人だと確信。7時半、妻に写しを交替してもらい第一食。鶏とイカ唐揚げ、ダイコンおろし、カブ浅漬け、ダイコンみそ汁、米飯、玄米茶。写し続き。8時半過ぎ出。地下鉄で大通。

 9時過ぎ頓宮神社着。組合員ほぼ全員すでに集合し、札幌組合員の落札荷を検品中。弘南堂さんから昨日買ってもらった『冬の匙』の代金頂く。亜本屋さんの大量の荷の検品手伝い、次いで自店分をリブロさんと。特選市役割分担表には抜けていた集荷係を急遽拝命し運送屋さんに店別の個数を連絡。けっこう運営上で「急遽」の多いのが特色の市であった。担当の方々は皆さん無償でやっているのだから何かとご苦労があると思うが。

 某家分で出来ずにボーとなったほとんどをなちぐろ堂大西君に貰ってもらう。一ヶ月前からすでに予告し、承諾受けてた件であるが、大山ばかりであまりの量に大西君の顔も引きつっている。「これ、渡辺淳一の『花埋み』、初版帯付きサイン入りだから、古本市でなくてもネットでも売れるんじゃない」などとなちぐろ夫人あかねさんに説明。これもまだ、Rプラザ古本市の参加メンバーだから引き受けてくれるのであって、古本市がなくなったらこういう大山の本はどう処分したらいいのかなあと先行き案じられる。

 札幌組合員分の本を一階玄関前に降ろし、運送屋さん2トン車に積み込み、次いで各店自家用車にも。会場となった2階3階の椅子、会議机を元に戻し、掃除、後片付け終ったところで、ご苦労さん昼食会。

 近くの<五修堂>なる中華屋さん。ランチ時間とあって外で待っている人がいるなか、古本屋十数人が悠々とビールとウーロン茶で乾杯。昼ビールの美味さは知っているけれども今日は我慢してウーロン茶とAランチ(レバニラ)。途中B堂K君が「平岸プールの近くに住んでるんですか?」と薫風氏に話しかけたのをキッカケに、あそこは昔焼き場だったんですだの、小さい頃よく霊園で遊んだもんだが辺りの空には人間のカスを含んだ煙りが漂って、怪しげな灰が降ってきたもんですだの、という話がされ、なにやらレバニラ定食の上に人間の灰が薄く積もっているようであって、味が今イチとなったそのレバニラをもそもそと咀嚼しているところに、ちょっと離れた席に座ったグループからは「皆さんどれぐらい売ってるんですかね?」という質問に「まあ、店によってピンからキリだけど、昔、◯◯◯◯◯◯◯にいた時で良かった頃は3、4億かなぁ」「ええ!?そんなに?月にですか?」「まさか、年にですよ。ははは」という豪気な会話が聞こえてきて、あちら3億4億、こちら人間のカス古本屋のクズだもんなあ、と自覚深めながらもそもそと飯を食べている横で、早くも自分分A定食を食べ終えた薫風氏がなちぐろ夫人から廻ってきたチャーハンに辣油をかけて猛然と取り組んでいるのを眺めながら、なんとか生きて行こうじゃないか、我々も、と心中語りかけ、食後のコーヒーを喫するのであった。

 1時過ぎ、神社に戻り、三階の地方荷を玄関前まで運搬して散開。B堂K君、なちぐろ大西君と共に残り、自分はロビーで朝方の筆写続き。30分ほどで完了。全330句。大西君を残しK君のクルマでテレビ塔前まで送られ、地下鉄ベンチで森田たま序文、加藤楸邨跋文、本人あとがきを読む。どれもおざなりでなくいい文章。地下鉄で北12条。弘南堂さんに本を届け帰途に。今回の特選市、親父さんの顔が見られなかったのは淋しい。

 南平岸駅構内八百屋さんでキャベツ半分、<Maxvalu>でグレープフルーツジュース計198円購入、3時過ぎ帰宅。15時現在、曇り、17・1℃(最低6・4、最高18・4)、湿度37%。りんご、カフェオレ、紅茶、冷水。

 うとうと。梱包4。うとうと。8時半〜10時、運送屋さんから届いていたお踊り場のデカダンボ―ル三箱から特選市仕入れ本を取り出し掃除、スーパーレジ袋に詰め替え、部屋の中に分散して入れる。途中、隣室から出て来たご主人と挨拶交わす。

 11時半〜零時半シャワー。Sさんへ特選市結果報告メール。かすかな解放感。カセットでC.C.R.。サンマ刺身の漬け(ショウガ、刻みネギ)、鶏とイカ唐揚げ、蒸しモヤシ、空芯菜、カブとキャベツ浅漬け、カリフラワーマヨ焼き、燗酒二合半、玄米茶。阪神がヤクルトに敗れ再び巨人と並ぶ。先日、五輪で金メダルを獲った石井はプロ格闘家転向らしい。何度か船を漕ぐが、それでも酒を飲む。疲労。午前3時過ぎ就寝。