須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 特選市前々日と『風呂場で読むドストエフスキー』

 午前8時10分起床。うどん、ナットウ、冷水、牛乳、カフェオレ、紅茶。9時20分出。小雨。地下鉄。

 9時50分、某家着。なちぐろ堂大西君すでに来ている。二人で二階の本の縛りを一階玄関前の部屋に降ろし始める。もまもなくSさん、次いで運送屋さん着。各自持ち場を決めて手渡しで運搬。一階に降ろし終わったところで10時半。10分休憩。今度は降ろした本を門前のトラックに運ぶ。11時完了。2トントラック半分ほどになる。予想していたよりもずっとSさんが働いてくれたので助かる。Sさんに特選市出品目録と『札幌人』拙文コピーを渡して某家辞す。

 運送屋さんのトラックの後を、大西君のワゴン車に同乗して移動。すすきの。亜本屋さん三条ビル店に寄り七箱降ろす。いつもながら二階からのこの距離がバカにならない。自分であったなら此処への出店は躊躇する。雨脚早くなる。移動。コンビニでホットペット350mlお茶136円。大西君はおにぎりも。移動。円山競技場近くのテニスコート横の駐車スペースに車を停めて昼食タイム。車内で持参おにぎり2、温緑茶と持参冷水。「♪あなた〜を待つの〜テニスコ、オ、ト、って知ってる?」と大西君に訊くと案の定首を振られる。「いやあ、三十数年前に天地真理が歌ってた脳天気ソングなんだけどさぁ」と説明しながら世代の差を感じる。

 1時半某家着。昨年の8月、9月に亜本屋さんの手伝いに通った同じお宅。二階書斎に上がると亜本屋さんが豆札を本の縛りにつける作業中。想像していた分量をはるかに越える本の堆積を前に声を失い、憂鬱になる。ほとんどすべてが美術本。また手分けして二階から玄関に降ろし、溜まったところで、小雨の中、庭を通り階段降りて、トラックまで運ぶサイクルを黙々と繰り返す。何十往復。膝が笑い出す。トラックに入り切らず大西君の車に積み込ませてもらう。2時45分完了。午前の分のざっと1・5倍の量か。昨年は今回分の3倍はあったと思う。疲労

 雨に濡れた無惨な姿で地下鉄に乗るのはイヤだなあと思っていたら、大西君が「送りましょう」と云ってくれ救われる。「少なくてすまんけど、焼酎の一本でも差し上げたいんだけど、午前中のお礼ね」と助手席で申し出ると「いや、いいですから」と云ってもらい、「そうか、ワリイ、出世したらご馳走するからね、まあ、しないと思うけどさ、申し訳ないけど」と付け加える。ナイスガイだぜ!大西。3時20分帰宅。15時現在、雨、13・5℃(最低9・6、最高14・6)、湿度80%。カフェオレで一服。6時、豆餅2、玄米茶。

 梱包1。8時半〜10時半入浴。湯船の中でマッサージ。上がってボルタレン。11時、豚中落ちバラとネギ塩焼き、蒸しジャガイモ、目玉焼、キャベツ浅漬け、燗酒三合、玄米茶。

 昨日届いた長屋恵一著『風呂場(バスルーム)で読むドストエフスキー』(響文社 349頁 定価1680円)をぱらぱら捲ってみる。目次は以下のとおり。

◎「
第1章 地底人現わる!ーラスコーリニコフの夢は時空を駆けめぐるー

第2章 作家は交響するーまことにキー・ワードは鍵であったー 

第3章 主よ、もう臭くなっておりますー第二のコース、スメルジャコフ君、従僕!

第4章 左手に知らしむべからずー蛇が女で、女が蛇で……

第5章 笑助さんと臭助さんーオナンは精を「地に漏らした」ー

第6章 時間よ止まれ!ー「唖(おうし)、聾(みみしい)」(マルコ福音書)の風が吹く

第7章「罪と罰」のそっくりさん

第8章 病める薔薇の《蜘蛛》ーあるラスコーリニコフの告白(1)

第9章 病める大地の《蜘蛛》ーあるラスコーリニコフの告白(2)

第10章 馬場さん(江川卓)の想い出 
外套ー落語訳のこころみ ゴオゴリ原作 江川卓演訳 
二人羽織りー『謎とき「罪と罰」』落語読みのこころみ 江川卓原案 長屋恵一演読
先生と私ー序の巻ー

あとがき  」

 本に同梱されていた手紙に記されている著者自身の宣伝文はこうである。

◎「本書『風呂場(バスルーム)で読むドストエフスキー』(響文社)は決して研究書ではありません。筆者としては娯楽(エンターテイメント)、と頭に振りたいところの読み物であります。

 ドストエフスキーの作品群をめぐる怪奇幻想、滑稽譚として、知的(自分で云うのはおこがましいが……)冒険として、論理の目眩まし、手品(マジック)として、文学にあらわれたる蜘蛛のイメージのコラージュとして、気楽に読み飛ばしていただければこれに勝る喜びはありません。」

 なんか面白そうではないですか。読んでみたくなるではないですか。明日も早いので今日はもう寝ますけどね。疲労、ひーろーになる時、あっ、は〜、それはいま〜。午前1時半就寝。