須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

この阿媽ロック!

 4時半起床。洗顔済ませ、即、封筒にクロネコメール便のシールをペタペタと19通、電話で集荷依頼、『須雅屋通信』妻版を発送。

 カフェ・オ・レを飲みながらメール・チェック。昨日注文のあったシンクレア「マナサス」があえなくキャンセル。家中が暗くなる。ヌカヨロコビってこのこと?で、カフェ・オ・レはかくまで苦し。キャンセル理由は説明されていない。ナンなんだ、一体。受注確認メールで、あらためて本の状態を詳細に書き込んだのが返って災いしたのだろうか。この翻訳書自体あまり見かけないが、二冊揃いのカバー付となると相当珍しいと断言できる。そう簡単に手に入る本ではないし、コンディションもまあまあである。なのに、うーん、わからん。と、落胆していた時、<楽天>よりメール。昨日オークションに出品したマイクル・コニイ「ハローサマー、グッドバイ」(サンリオSF文庫)が落札された由。また、かすかな灯が灯る。

 明日の岩内への交通費捻出のため妻は街へ蔵書を売りに出かけた。7時過ぎ、トースト二枚と牛乳にて第一食済ませ、自分の方は<セイコーマート>へ赴きATMで<JNB>から3千円をおろし、『週刊新潮』立読み。某女性作家のコラムに目が止る。パチンコに狂った彼女が、4日間連続で8万円スッたのに懲りてパチンコ屋のない界隈へ引っ越してみたが、何処だかの街の映画館へ通ううちについパチンコ屋に入り、また嵌ってしまったというエピソードを読み、何か割り切れぬ気持が湧き上がってきた。しかも、そのパチンコを素材の一部にした新作をものしたというではないの。この阿媽ぁ〜。10円引きサービス券を差し出し、セイコーフレッシユ北海道牛乳1リットルを166円で購い、「この阿媽ロック」(作詞作曲須賀章雅)をシャウトしながら自分は帰途についた。「♪この阿媽、この阿媽、この阿媽ロック/ロック、ロック、この阿媽ロック」。詞(詩)は完成しているのであるが、あいにく、曲はこのサビの部分しかできていないとあって、自分は「♪この阿媽、この阿媽、この阿媽ロック/ロック、ロック、この阿媽ロック」を延々にリフレインしながら歩き続けるしかなかった。8時過ぎ帰宅。

 古書目録『亜本屋通信』68号来。札幌東社会保険事務所より本年分(平成17・7〜18・6)の国民年金全額免除の通知あり。翌年以降も免除希望の場合は同封の用紙に必要事項記入の上返送せよとのご指示も記してあり、はい、させていただきまーす、とばかりに直ちに記入する。

 10時半、妻いつにない早い帰宅。シャワー浴びて、1時第二食。いまだ顎の具合完治せぬ故、食うのに甚だ手間どる。先日、妻が岩内から輸入してきたメロンも戴く。林檎以外は果物にはさほど食気が起こらぬのであるが、執拗に妻が奨めるのでもごもごと食す。ああ、何かすでに朽ち果てた老人になったような気分だ。

 瑣細なことではあるが、ドラフトワンというのは発泡酒ではなく、第三のビールとかいう種類の酒類であるようだ。わきまえず、発泡酒発泡酒発泡酒とこの日記でも浮かれて記してきたが、今後は正確を期そうと思うのである。

 asahi.comによると今年の文藝賞は22才の女性ともう一人、15歳の中学三年女学生の二人に決定の由。この数年の受賞者を見るに、この雑誌においては若ければ若いほど編集者には喜ばれるようだ。この分で行くと、5年後には小学生、もう5年後には幼稚園児、さらに5年後には嬰児の受賞者が出現。そしてそのまた数年後にはついに、女親の腹に耳を押し付けて男親が聞き書きした胎児の脳波が語る夢の物語が、超前衛的に飛んだ尖端的な作品だとして満場一致で受賞するってことになるであろう。おそらくユメの未来のその時代には、大学生や高校生作家は役目を終えた年寄りとして、ごく一部を除き皆干されているに違いない。

「okatakeの日記」の9月4日を読んで「不機嫌な作家たち」の内容が、何か他人事とは思えぬ感じがしていたのであるが、翌9月5日を見ると岡崎武志さんも同じ感想を持たれていたようで、うれしくもあり、恥ずかしくもあり。「ぼくも軽ライターとして、取材するときについては過去に何度か屈辱的な目に遭ってきたが、それ以上に、この仕事をやっていてよかったと思えることも多かった」と4日の日記に書かれているのはとても励ましとなる。自分も古本屋をやっていてよかったと思えることの方がはるかに多くあったのだから。でも、決して「軽」ではないですよ。

 4時から日記書き。9時半過ぎ横になる。断酒。選挙宣伝カーからの声五月蝿し、騒がし、カシマし。まことに迷惑なり。やかましいったらありゃしねぇ。ウルセーぞ!コイズミ!勝手に選挙なんかやりやがって!!