須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

合わせて三発!

 午後2時起床。必要とあらば起きられるものなり。晴。12時現在で26・5℃(最高気温は28・1℃)、湿度47%、西北西の風4m/s。

 菓子パン、カフェ・オ・レ、冷水で第一食。そこいら辺に散らばっていたり、壁にかかっている衣類を、ハンガーを、寝室と脱衣場に移動。

 3時、『季刊札幌人』の荒井さん来訪。8日に取材された須雅屋聞き書き部分の校正と、それに発泡酒「サッポロ・ドラフトワン」半ダースをお土産に戴く。まことにありがたし。いい人なり。お会いするのはこれで三回目であるが、今日はスーツ姿ではなくカジュアルな恰好なので5才は若く見える。といっても、元々自分より7才は年下の筈なのだが、ちゃらちゃらしていないので貫禄があるのである。

 『札幌人』の古本屋特集、現札幌古書組合理事長S堂さんの助言もあり、組合加入非加入問わず今回掲載できなかった市内の古本屋を可能な限り取材し、もう二回から三回出すことに計画変更した由。今回の掲載店、雑誌発行後には、あまりにも須雅屋とナカヨシコヨシの店ばかりと他店から見えるかもしれぬ点、自分もかなり気にかけていたので、それが一番よかですたい、と全面的に賛成し安堵する。一応、居間にも入ってもらったが、本も大量にあるにはあるが、相当に生活の匂いのする光景でもあるので、廊下で写真を取ることに。さくさくと進み、3時20分に終了。『全国古本屋地図21世紀版』(古書通信社)を頼まれもしないのにお貸しする。

 MS玄関まで見送り、今日大通方面から乗って来られたという自転車を見せてもらう。自分には分からぬが、なかなかの名車とお見受けする。荒井さんの<Sタイムス>在籍時代の同僚で現在失業中の小笠原君の消息を聞く。7月25日に二人で酒を飲み(といっても十歳年上の自分がプータローの小笠原君に一方的に馳走になったのであったが)、好漢その後どうしていることか、と少しく案じていたのだけれど、まだ無職の身の上であるというのに現在、「GoSmoking友の会」なる喫煙者の権利を守る団体の集まりがあり、中心メンバーである筒井康隆氏に会うために東京へ行っている由。物見遊山に行くなど、なんか自分よりも遥かに余裕がありそうな行動なのであって、自分はオノレの今と行く末を心配すべきだったのだ。

 お客が帰って、廊下を元に復旧。寝室に蟄居していた妻も出てきた。「荒井さんはいい人だ」と述べると、「君の云ういい人って、酒か食べ物か本をくれるか、あと、飲ませてくれる人ね」と云いやがるので、「吉田健一も、酒場で会えば必ず奢ってくれた横光利一を、いい人だったと回想しているんだ」と酒飲みの自己弁護。

 6時、即席麺にて第二食の後、『札幌人』の校正。事実と異なる部分あちこちにあり、大幅に直す。日記にあまりヘンなこと書いて、遠くから密教の呪術とかかけられないように、と注意を云い残し、妻は自分(妻)の蔵書を売りに街に外出。

 11時から入力、ブログいろいろ見ながら、サボりながら、4点。12時、本日は湯をはって入浴。途中、妻帰宅。湯上がり後、ドラフトワンを一本飲む。久方ぶりの酒なり。生き返る心地す。本日は米は食わずに総菜のみにて第二食。。インコたちも妻から桃を貰って嬉しそうなり。いま少し仕事をしようと予定していたのでアルコールは摂るまいと決意していたのであるが、微量でも飲むと自分という男、だらーん、として、予想通り仕事もできぬし、日記も書く気起こらず。

 街で妻が島久平著「ダブルで二発!」(久保書店 昭和41年初版)という本を買ってきた。自分は知らなかったが、最近妙に人気が出て、再評価されている推理作家だそうだ。この人には「そのとき一発!」という著作もあるとか。復刊の動きもあり、ある編集者が会議で二冊を合本とし、タイトルは「合わせて三発!」で行きましょう!と云ったとか。

 プロ野球。人気凋落のチーム西武ライオンズの西口、9回まで完全試合を演じていたのに、試合は勝つには勝ったが延長10回にヒットをゆるした由。今年、本人二度目の9回途中までノーヒット・ノーランという試合もあった筈で、そういう運命なのだろうか、なかなか面白い男なり。
 4時就寝。