須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

断崖と祭りのおわり

 午後4時起床。真面目に生きようと誓った昨日の反動がすぐにきた。快晴。さわやか。もっともすぐに夕方となり、夜の闇が降りてきたけれど。

 FAXで1月発行の目録「札幌の古本屋」掲載品への問い合わせあり。昭和25年発行の『現代詩』5−1、3千円。「北園」と記載されているのが北園克衛なら購入したいのだが、どうしたらいいか、とある。注文はありがたいし、在庫もあり、すぐどうにかしてあげたいのはやまやまなのであるが、姓名住所連絡先一切書いていないので、どうにもしてあげられない。ああ。

 ブローティガンの人から入金通知メールあり。「火星の美女たち」の人からもメール来ていた。落札通知メールを見落としていて申し訳なかったが、本日送金した由。冊子小包二つ作る。

 「火星の美女たち」は梱包前に中身を鑑賞してから作る。ギュスターブ・モローの代表作をモローにパクった絵、少なくとも2枚あり。たしか、水木しげるにも、ベックリンの構図であったかをそのまま戴いた絵がある。まあ、そんなことツツキ出したら、竹久夢二、蕗谷虹兒、高畠華宵などの戦前の巨匠も、パクパクやっていたらしいから、パクリも藝のうちであって、肝要なのはいかにうまく盗んで応用し、自己のオリジナルたらしめ得るかという技術の有無、そのセンスが優れていれば、それをひとつの立派な才能と人は呼ぶのだろう。短歌における初期寺山修司は他人の俳句からの剽窃を云々されたけれども、そのパクリ換骨奪胎自家薬籠中にする手際があまりに鮮やかであったので、いつしか批判は消えて、寺山が死んでも作品は残り続けている。

 なーんてエラそうなことを考えながら、荷造りにかかる。思い返せば、小包作るのは1週間ぶりぐらいなのであって、これではいけないのだ。いずれ煮詰まる。干上がる。食えなくなる。いや、もうすでに崖っぷちにいるのじゃ、こいつは。もっとも、この断崖絶壁に立ってる状態、そーとー前からなんであって、それが習い性になり、別名ノーテンキと裏表にある妙な度胸も湧いて居直るに至り、ヘイッチャラさ、まあ、なんとかなるでしょ、ケセラセラ、と高をくくり、悲惨な己の現実を見つめることもせず、何処からみてもノンキな倒産じゃなく、父さんみたいにへらへら笑って毎日暮らしているのだ。が、いつまでもこれではいけんのよ。駄目なのよ。真人間になろう。毎日、一所懸命とはいかなくても、もう少し、古本の仕事を真面目にやろう。そうだ、そして毎日メール注文が来るようになろう。よし、今年の末までにはコンスタントに一日三件の受注がある古本屋になってやるんだよーん。と、自分は新たな目標を立てて満足し、気分が少しく晴れるのを覚えたのであるが、またすぐにこうも思った。でも、問題はもう一つあってだ、今年の年末が果たして与えられるかどうか、ちゅうことじゃわい。小包1ヶ郵便局の集荷にて出す。

 堤義明初公判、容疑全部認める。殺人罪には問われぬが部下が二人自殺している。きっと天寿をまっとうするんだろうな、こういう人は。

 横浜0×ソフトバンク2、広島0×日ハム3(11連敗の後これで4連勝、小笠原3ラン、元巨人の入来が好投、最近ようやく仕事らしい仕事をしだした)、楽天0×巨人4(4連勝、工藤快投、これでまた引退が延びた)。MLBデビルレイズ野茂日米通算二百勝達成。これは日本ONLYで換算すれば300勝にも値する数字であり、名球会どころの騒ぎではない、と思う。あまり報じられていないようだが、相手のブリューワーズも以前1年であったか在籍していた時期のあるチームだ。

 札幌夏祭り、終わる。ラジオで聞いたところによると、綿あめ400円(もちろん1本)、りんご飴300円、チョコバナナ200円というのが現在の相場らしい。ああ、子供いなくてよかった。何年か前まではこのお祭り、ヨサコイソーラン隆盛に観光客を食われ、客数が極端に減って苦境に立たされたのであるが、オレっちが本家本元、ホンマモンの伝統ある祭りなんやぞ、この新参のチンピラ、ボケナス、客返せ!と怒鳴り込んだかどうかはしらないけれど、ヨサコイの開催時期を直前に移行してもらうことにより、客足も戻ってきているようだ。店を開いていた頃は、帰りに薫風書林とコンビニでビール買って(露店で買うとバカ高いっしょ、ビンボー人には)遊びに行ったもんである。遊ぶといっても、ぶらぶら歩いて見学するだけであったが。おお。♪バカか〜ったあの頃〜、何も〜こわく〜なかった〜、ただ〜今だにバカなのが〜こ〜わい〜のよ〜.........ああ。

 断酒。3時就寝。