須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

忍び寄る恐怖

 11時起床。昨日よりは気温低し。地下鉄で大通りへ、12時15分警察署着。今日は余裕の楽勝の予定であったが、とほほ、受付が1時まで昼休みにて閉まっている。

 近所にある三井住友銀行へ行き、JNBから8000円おろす。昨日の「パイプ」の代金もすでに入金されていた。JNBの出金手数料、三井住友では月3回まで無料。今日、その3月第一回目。ついでに某金融機関へ5千円振り込み、昼間に飲むその旨さを思いながら、札幌グランドホテルのビアホール前をうろついて、署に戻る。

 室内すでに大勢の市井の民がいらいらと待っており、持って来た文庫本「アイリッシュ短編集1」を開いたところで、受付が再開。まだ1時15分前。係の警察署職員(?)も市民のために気を使って、昼の休憩時間短縮しておるようで感心、思わず「ごくろう」と声をかけたくなるではないか。更新手数料2250円、講習手数料700円、計2950円払う。他に写真代800円ほど取られるかと覚悟していたら、これはかからなかったので助かる。

 優良講習を受ける前にトイレを使っておると、ひとつ空けて隣に立った黒いスーツの今風のスマートな若い男が、器用に頬と肩で挟んだケータイに左手添えて、大声でビジネス連絡らしき話をしながら、派手な音たてて放尿を始めたが、その迸る勢いのよさといつ果てるともしれぬ時間の長さといったら。ああ、若いって素晴らしい。

 3時、講習終了。新しいゴールド免許をもらう。平成22年3月12日まで有効。ずっと髪を切らず仕舞いであったので、大阪通天閣あたりのレゲエのおじさんみたいな顔が写っておる。穴を空けられた旧い免許を取り出し比べてみると、明らかに額の面積が上部の方へと拡大しているのが分かる。忍び寄る脱毛の恐怖に慄然。先輩の◎◎堂書店は四十になるやならずで、禿と貧乏とどっちがいいと思う?スガ君、と堂々と開きなおっていたから立派なもんである。気づいてみれば自分は、こうはなりたくないと反面教師にしてきたあの人△△書店と同じ道を歩みつつあるのではないか。でも、あの人はまだいいのである。救いがあるのである。現在寝起きしておる奥方の実家という居宅の屋根があるのであるから。たとえ貧乏でも、いかに禿であっても、雨露はしのげ、野垂れ死にすることはなかろう。だが自分はこれから先どうなるのであろうか。

 4時前、南平岸に戻り、Maxvaluで漂白剤、トイレロール買物、平岸六条郵便局で振替口座から金おろし、ガス代払いにセイコーマートへ。入口入って、会計に数人並んでおるのを眺め、雑誌コーナーを眺めつつ、ぐるっと廻って旋回、さてレジに近づこうとしたところ、思わずぎくりとして足を止め後ずさり、回れ右して菓子コーナーの棚の陰へ身を隠す。隣の部屋の犬オヤジが、会計済ませてビニール袋片手に店を出ようとしているところであった。この店を贔屓にしているのであろうか。ガス代12月分4344円を払い、外に出て辺りを見回してみたが、すでに犬山の姿はなかった。野郎、アホ犬用の缶詰でも買って帰りやがったのか、と思ったが、MSへ着いてみると駐車場に犬山のクルマはなかった。何処ぞによからぬ相談で悪い仲間を訪ねる途中、話がこじれた時のために毒物を混ぜる洋酒でも調達したんだな、きっと。と、推測しつつ、4時半近く帰宅。

 日本の古本屋A本屋委託分より注文あり。谷譲次「新巌窟王」全二冊・現代教養文庫・昭和50年。妻の本。

 廊下天井の電燈が切れる。