須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

3月3日 木曜日

 日本の古本屋A本屋委託分より注文あり。ヴォーブナルグ他収録の「世界人生論全集」第9巻。妻の本。『さっぽろの古本屋』の発行から一ヶ月を過ぎて、毎日来ていた注文もぱたりとなくなり、3日に一回ぐらいの割合になってしまった。いやます不安。

 2月28日◎◎運輸へ振り込んだ分が60円不足していたことがわかり、街へ出る妻にみずほ銀行からの入金頼む。請求書が見あたらなかったので、こちらで計算した合計額を送金したが、昨日ぽろっとノートの間から請求書が出てきた。手数料420円の損。

 以前、あと何回か支払いが遅延したら現金取引にしてくれと本部から言われている、などと若いドライバーが脅かしやがるので、この雲助風情が!と言いたいところを堪えて、「すんまへん」と頭を下げて赦してもらい、◎◎運輸を使い続けている。集荷に来る宅配便ドライバーは一部の例外を除き、態度の横柄なのが多いが仕事は早い、一方郵便局員はなにかおっとりとしていて態度はいいが、仕事は遅い。自分はどちらかというと郵便局の方を好ましく感じているが、民営化されたとしたら、態度も◎◎運輸っぽくなるのであろうか。本日も冊子小包一ケ集荷に来てもらう。

 新聞受けにチラシ一枚。「シャトー△△MSご入居の皆様へ  拝啓 余寒の候・・・・この度オーナー様の依頼により当マンション石油暖房機の定期点検を行う事となりました。つきましては・・・・北ガス宮の森サービス店」。おおっ!やはり家だけじゃなかったんだ、ストーブがおかしくなっていたのは。他からも何軒か苦情が出たにちがいない。点検は3月10日〜12日の三日間午前9時から午後6時頃までに済ます由で、早速電話で10日夕方5時を申し込む。やった!これで備え付きストーブが復活する。わざわざ灯油を買いに出なくても済むようになる、と自分は懸案事項が一つ解決をみたので、ほっ、とした。

 夕方からのニュースは堤義明元コクド会長逮捕が大々的に。昔、H文字屋店員時代、古本市の店番をしながら上之郷利昭ほかの「西武王国 - 血とナントカの野望」とか何冊かの西武モノを読んだもんだが、本の写真で見るその風貌は、有数の富豪の坊ちゃん育ちの割には、弟の方はノーブルな感じがまったくしないな、と思わせるものだった。20年ほど前に書かれたそれらの本は大概、ロマンチストの虚業家、兄清二がセゾン・グループで出した巨額借金の尻拭いをする堅実な実業家の弟義明という基本トーンで語られていた。が、今回のこの結末は何を語っているのか。と、商売人にもなれない自分をひとまづ棚に上げて、自分は思った。

 夜、数少ない古本屋友達☆☆☆☆君からメール。 

 ≪ネットで売りもするが、買いもする僕の失敗談です。

先月、三島も出ている映画「人斬り」のポスターを
買いましたが、これが到着してみるとB2判サイズを縦に二つに切った、しろものでございました。

写真では全然わからず、僕はてっきりスピードポスターかプレスポスターだと思い、落札してしまったのです。「ひどい売り方をするものだ。」と思いつつも、自分の判断ミスでもあるので、今回は忘却することにしました。

それが約1ケ月前の話で、
わすれかけてた今日、あるオヤジから1本の電話が。

声の主60才ガラミのオヤジ、「人斬り」他どっさり昔のポスターを娘にやったら、娘がネットで売って小遣いをかせいだことを知り、まだある残りのポスターを業者に売って自分も小金を作ろうと、以前娘が売ったポスターの買い主の業者である僕に連絡をとってきたらしい。

最初、僕は、このオヤジが不備なポスターの件を
あやまるお詫びの電話をしてきたのかと思ったが、
そんな殊勝な人物ではなさそうだ。

話から昭和30年代〜40年代の、ポスターやパンフが各袋に入って700部あるという。

秋田の映画館から出たものをもらったそうな。

それを売ってくれるのかなー、と思うから、「いつでも買取りしますよ。」と当然いうが、「買取り〜って...言ってもね...」と言ってハッキリ話をすすめようとしない...

「買取りってぇ〜安くてもねぇ。」
「どれくらい量があるんですか?」
700部あるという。

オヤジ「ま、一つ1万としてもぉ、700万になるでしょう。5千円にしたって350万か。」

ここにもいたかネットボケのオヤジがと、
ためいきをつきつつ、早々に買取りはお断りした。

オヤジは僕が断わるとすぐに態度を変え、
今すぐにも持ち込みするような口振りに変わるが、
「娘さんにあげてください。」といってさらに断わる。

といったが、な〜んか来そうな気がするなあ。

 僕の失敗談? 困ったオヤジ編でした。》

 いろんな客がいるもんだ。と、あらためて自分は思った。