須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

ああ、よかった

 2時、3時と電話鳴るが起きず、妻が対応。5時起床。15時現在、曇り、16・5℃、南南東の風6m/s、湿度60%。手稲区では最高気温20℃を超えたそうな。

 先ほどの電話、2月発行の『さっぽろの古本屋』2号への問い合わせであった由。2月には「画集ヴァーガス」を頼んできた年配の男性が「覚えてる?」と前置きして、今度は雑誌『えろちか』創刊号・特集:レスビアニズムの内容を訊いてきたという。他の在庫についても含め30分ぐらい通話していたらしい。ちなみにアルベルト・ヴァーガスというのは50年代から70年代(?)の『PLAYBOY』誌に女性のイラストを描いていた人で、作品を見ればたいていの男なら、ああ、あの絵ね、と即座に思い当たるにちがいない画家。ところで結局注文の方は戴けなかったそうである。

 起きる前に見た夢。場所は修業時代に丁稚をやっていた古本屋H文字屋店内。値付けした本の棚への補充や整理を自分が店主のUさん(桂三枝に似た風貌でなかなか女性に人気があった)とやっている所へ、客が5人(男、中年、若者入り交じり)どやどやと入って来て、レジ横にある喫茶店のようなカウンターの前に座り、「コーヒー」「オレも」「僕も」と云う。実際の店もそのような作りであったのだが喫茶店を兼業していた訳ではない。夢の中の自分も、「あ、喫茶店じゃないんですよ、ここ。すみません」と断る。「あ、そうなの?」「なんだ、まぎらわしい」などと口々に男達が云って立ち上がり帰りかけようとしているところへ、「いや、かまいませんよ。どうぞ。コーヒー五つですね」と棚の陰からUさんが出て来て、カウンターの中に入ってコーヒーの準備を始める。最近、景気悪いからなぁ、金になるなら何でも受入れることにしたんだなぁ、と自分が推測しながら眺めていると、また入口のドアを開けて男が二人入って来た。見ると、セリ(同業市場)の帰りの(と夢の中で思った)◯◯書店と△△堂で、自分が目礼し、カウンター内のUさんに向かって、「コーヒー二つ、追加です」とウェイターよろしく声をかける。すると二人を見たU社長、急に不機嫌になり、「いいよ、そんなの」と吐き捨てるように云う......と、ここら辺りで夢が終わったのか、あとは記憶なし。

 7時、うどん、白アンパン、紅茶、カフェ・オ・レ、水。ニュース。フランスの暴動10日目を過ぎて激化、暴力化。<日本の古本屋>A本屋委託分に注文あり。『ユリイカ』特集:バウハウス。んー、もう500円高くてよかった。8時、テレビ「地球・ふしぎ大自然」をラジオで聞く。昨年末の大津波スリランカでは一頭の象も犠牲にならなかったのだそうな。津波が押し寄せる一時間ほど前、象たちは大挙して山だか高台だかに登って行ったのだという。有名な話なのかもしれないが、自分は知らなかったので、へえー。

 10時より、<楽天>から<日本の古本屋>への書式変更作業。12時から1時半入浴。ヒンズースクワット50回。上がって、ヤキトリ、コロッケ、湯豆腐、タラコ、みそ汁、米飯で第二食。酒は飲まず。

 食後、何気なく眺めていたネット画面から飛んで飛んで廻って廻って「第一回芝不器男俳句新人賞」受賞者紹介のページに行き着く。募集は自作百句で、受賞者は賞金30万円が貰え、句集まで出版して戴けるらしい。この第一回は2002年9月に応募締め切り、同年11月末発表なのであったが、この賞、どういうわけか毎年公募されている訳ではないらしく、第二回締め切りは今年の11月30日であるのが分かった。ということは、今月末。うーむ......うーむ。ここはひとつ、まあひとつ、須雅屋のご主人さん、一丁やったるか、と気持が動く。よし。わしゃあ、芝不器男のように俳壇の空に彗星のごときデビューを果たすぞ。と、すっかりその気になり、あらためて募集要項をじっくり眺めてみるに、応募資格に「昭和41年(1966年)1月1日以降に生まれた方」ってあるじゃないの。あちゃー。がくっ。オジさんは引っ込んでろって訳だ。でも、間違って応募しないで済んだのはとても良かった。不幸中の幸い。誠に慶賀すべきことである。なにしろ「芝不器男賞」の歴史に名を残す恥ずかしい応募者になるところを、危うく救われたのだから。ああ、よかった。災い転じて福と成す。あとは立派な廃人になるだけだ。

 3時半より再びエクセル。6時、50点UP。<日本の古本屋>、これで150点となる。昨日、<楽天>の質問コーナーから問い合わせのあったトマス・マックナイト画集「楽園への旅」(妻の本)に注文入る。メールを書いたり、ネット徘徊しているうちに9時。一旦、酒を机の上に置いたが、飲みそびれ、そのまま就寝10時となる。