須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

日曜 じゃんぼ新年会

 午後3時起床。牛乳、冷水。15時現在、晴、1・5℃(−3・1℃、湿度2・3℃)、湿度54%。5時、うどん、ナットウ、冷水、トースト1、カフェオレ、紅茶。受注『武者小路実篤全集』大正12年版・藝術社刊9冊(全12冊うち)。
 6時過ぎ、雪のちらつく中、凍路を駅へ。地下鉄でススキノ。南3西6長栄ビルの<アテック>なる場所を探すが見つからず、右折して狸小路を戻って一周、看板は出ていないがここではないかと見当つけて階段昇ってゆくとベースやドラム、トランペットなど、ジャズっぽいバンドの音が響いてくる。

 ドアを開けて受付女性に会費千円払う。騒音の中、「一昨日はあの後、<Lawdown>で大活躍だったそうで」と冷かす三宅マスターから発泡酒渡され、<焼鳥じゃんぼ>の新年会“詩と音”というイベントに参加見学。聴衆は30人ほどか(バンドメンバー含む)。演奏していたのはベース、ギター、ドラムス、テナーサックス、トランペット、トロンボーン(?)、キーボード3人(?)という編成の昔でいうクロスオーバーというかフュージョンというか(その時代以前のマイルス『ビッチェズ・ブリュー』風だったかも)そういうバンドでドラムはチャーミングな若い女性。リーダーのキーボード?の人は中古レコード屋さんのご主人らしい。

 長い演奏終わって、野坂幸弘先生に挨拶。ツマミのポテトサラダとフランスパン、茹で卵を皿に取って座席に着く。顔を出していた<Lawdown>マスターに「一昨日大丈夫だったぁ?」と訊かれ、「途中から覚えてません」と答える。実は自主制作詩集を持参して来ており、休憩時に、入口付近にいる三宅さんの傍に行き「自分が朗読とかしたら怒られますかねぇ?」と訊くと「いいよ」と快諾される。10分ほどして朗読タイムの始まり。三宅マスターが「新年おめでとうございざます、百年に一度の不景気だそうですが」云々との挨拶の後、ジョン・レノンの訳詞を読む。次いで野坂先生が先ほどの女性ドラマー(ベッキイさんというらしい)の演奏バックにご自作二篇読まれる。中島公園にいる鷺だったか(?)の鳥の親子(?)を書かれた詩が印象的。三番手は大澤榮さんという文教大学の先生が何篇か読まれた。アウシュビッツの詩と、アイヌと北海道開拓(?)の詩。

 それから再びミュージックタイム。ブルース&カントリーロックっぽいバンド。やはりススキノの経営者陣中心のほぼ中年のグループ。ギターの人は見覚えあり、以前、<Lawdown>のマーサとも組んでいた人ではなかったか。ラストナンバーは最初のバンドのラッパの人たちも加わってロック風にアレンジした岡林の「流れ者」。これはヨカッタ。三宅マスターから、これ出演料、とカンビール渡される。

 バンドの片付け終わって10分ほど後、二度目の朗読タイム。まず、この<アテック>というスペースの維持に関わっているらしい男性が、かつて来札時に一日一緒にいたというねじめ正一のコンドームの出て来る相当な長さの詩を朗読。かなり練習してきたのか淀みなく最後まで読み通した。ついで須賀章雅、つまり自分の出番となる。まったくの新顔ということで三宅さんの簡単な紹介の後、「ずっと古本屋やってます、ときどき詩も書いてます」と挨拶してから、作品解説ちらと交えつつ、「義姉の力」「うどん」「雪まろげ」「ある春の気球学入門」の四篇を15分(?)ほどずうずうしく。もちろん客席の様子を観察する余裕はないが、それでもあちらこちらにくすくす笑い、反応はさほど悪くないようであった。高校時代の友人や薫風書林などごく親しい古本仲間以外の、見知らぬ人々の前での朗読初体験となる。

 最後に出て来たのはドラムスとベースの20代前半男二人の演奏に20代前半女性が散文詩のような作品を読んで被せてゆくというユニット。演奏はおそらく相当上手いのだろうが残念ながら音量が大きすぎて声の方は、少なくとも自分には8、9割聞こえず意味が分からず仕舞い。9時半終了。

 二次会は南1西7の<憩み屋>なる店で。会費千円。河豚鍋、カブ漬物、炊き込みご飯(?)、の特別メニューと自分は燗酒。どれも美味しくこの店大いに気に入る。向いに座る野坂先生教え子の学園大学の院生さん二人は両人とも、今風というか、生物としての種が自分とは違うのではないかと思える小顔イケメンかつ(と云うか、なのにと云うべきか)ナイスガイ。野坂先生に正津勉さんのことや、小田原で川崎長太郎が毎朝通っていた食堂についてのお話聞く。その隣にたまたま同席した穏やかで上品そうな女性、<じゃんぼ>の常連さんらしいが文学館にいらした岡本さんのお友達の由。11時半で二次会終了。三次会、四次会と続く予定のようであるが、追加燗酒分500円払って今日は帰途に。小走りでススキノ駅へ。

 南平岸Maxvalu>にて、モヤシ2、調整牛乳、マルちゃん玉うどん、ネギ、白鹿酒カップ2ヶ、計786円。零時半帰宅。唐沢ママから荷物着。1時半〜3時入浴。ハマチとカンパチ刺身、おでん(卵、コンニャク、カマボコ、昆布)、ダイコンおろし、蒸しモヤシポン酢かけ、ワカメとダイコンおろし入りみそ汁、燗酒一合、サントリーオールド水割り二杯、玄米茶。受注、カー『死者はよみがえる』。午前6時過ぎ就寝。