須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 こんな夜更けにプリンかよ

 午後3時起床。15時現在、26・3℃、湿度49%。久しぶりの快晴。牛乳、冷水。3時半外出。郵便局、振替口座、ぱるるから計15140円を降ろし、JAで家賃6月分、67933円払い帰宅。胡麻パントースト三枚、プロセスチーズ、紅茶、冷水。
 6時、また外出。地下鉄で札幌駅へ。6時35分、東豊線札幌駅南改札口で小笠原君と待ち合せ。5分遅刻。今日は、本日給与が出たばかりの小笠原大尽がかねてからのお申し出の通り御馳走してくれるというので、またしても人の好意に甘えることに。小笠原君は先日と同じく、頸にタオルをまいた湯上がりスタイル。
 札幌駅からほど近い、サラリーマン時代によく来ていた由の<なか川>という居酒屋でビール、焼酎、日本酒。二階からの眺め、窓からの風ここちよく、価格体系も落ち着いていて居心地よし。ワイシャツ、ネクタイ姿のまともな勤め人たる一般市民の方々で賑わっている。宅酒を如何にやめるかという話や、StonesやQueenなど音楽関係の話題。Queenが来札していたのを(たしか二回?している)知らなかった小笠原君に、オイちゃんはな、82年10月29日金曜日に月寒共進会場のコンサート(五度目の来日時で札幌は確か二度目)に行っいるのだぜ、それはそれはよかったのだぜ、ぐわ〜んと感激したのだぜ、お若いの、と自慢話をする。フレディ・マーキュリー他のメンバー、サッポロビール園がえらくお気に入りであったとか、ブライアン・メイが家族連れで南郷通りの<マクドナルド>に現れたという取って置きの(?)伝説エピソードも披露。ちなみに月寒共進会場、今はグリーンドームとかいうオシャレな名前になっているが、元々は牛さんの品評会などをやっていた場所らしいのだ。モオモオ〜、そこでロックとは、モオモオ〜、さすが北海道だぜ!
 8時ぐらいから小笠原君の友人で7年ほど前に、現在の須雅屋事務所兼MS自宅に突然小笠原君と二人して訪ねてきたことがあるエリック紋地君も駆けつけ参加。ちなみにエリック君は日本人である。7年前のそれはたしか『文庫本交響楽』という本を新刊屋さんで立読みしてして須雅屋の名を知った当時失業中でえらく暇とエネルギーを持て余していた若者二人の突発的な気まぐれの小冒険的行動であったようなのだが、最初は不意を衝かれ戸惑い、次いで現れた二人の懐具合を推し量った冷酷な自分は、須雅屋目録を差し上げてお引き取り願ったのであった。そのエリック君は現在は道庁にお務めというのだから偉いものだ。また、身長も見上げるばかりの184センチという立派な若者。引退した大魔神佐々木と数センチ違いであるのは偉大である。自分はずっと仰ぐようにして話をし、話を聞いたので、すっかり頸が痛くなってしまったのだった。そして9時からは、こちらも最近無事再就職してコピーライターの仕事をしているタイムス時代の小笠原君の後輩柴山君も合流。
 10時、近くのカラオケ屋さんへ。あまりの混みようにさらに違う店へ。花の金曜日とてこちらも混雑、30分ほども待たされる。チューハイ飲んで、のっけから「悪魔を哀れむ歌」、「ギミー・シェルター」、「紫の煙り」など洋曲オンパレード。エリック紋地君のLed Zeppelinは、Robert Plantが創始したサカリのついた猫唱法を現出させ、なかなかの聴きもの。Who「マイ・ジェネレーション」、Van Halen「ジャンプ」をみごと歌いこなした小笠原君は女性の友人たちを呼んでみましょうか、と云って悠然と電話していたが、この時間から出てくる物好きはそうはいない。でも、ちゃんと声をかけるストックがあるのはサスガである。古本屋のオヤジ達の出来る業ではない。1時間ほどで柴山君帰る。最後はビートルズ。12時半、終了。帰りのお車代も支給さる。有り難く、申し訳なく、情なく・・・
 タクシー代を浮かせようと中島公園まで歩く。途中ススキノに差し掛かった辺りで、三宅さんの<焼鳥じゃんぼ>はまだやっているな、という悪い考えが浮かび、さらに、そうだ<Lowdown>が再開したのだ、と思い出し、小笠原君に申し訳ない、でもたまにはいいだろう、いや、やっぱり真っすぐ帰るか、と内的独白しながら、ふらふらと55ビルへ。

 階段上り一階ずつ探索、4階に発見、マーサの<Lowdown>。こじんまりした店。もう一坪、できれば二坪ぐらい欲しいところだが、何はともあれ店が出来たのはヨカッタ。主人マーサ氏が、実はスガ君が今日初めての客なんだ、と爽やかに云い賜うので、大丈夫なのだろうか、と心配になったが、昔から25日の給料日は、他のロック系の店も似たり寄ったりだそうだ。不思議。共通の友人鶴見さんはすでに顔を見せたそうで、律儀な人と感心する。使用している冷蔵庫が、我が家に今度入ったものとまったく同じなのも何かの縁かと面白し。小さいのでビールを大量に冷やせないので困る由。分かる分かる、とヘンに話が盛り上がる。1時間ほどして4人様が入り、ホッとする。中にエリックと呼ばれる人がいて、この方は異国の人であった。その外人エリックさんの日本人の彼女から何故かプリンを貰う。こんな夜更けにプリンかよ、なんて文句はもちろん云わず、有り難くオミヤゲに頂いたのである。それにしても今日はいろんな国のエリックさんに遭遇する日なのであった。一日に二人ものエリックさんにお会いするのは我が生涯初めてなり。カンビール二本、チャージ〆て2千円なり。

 中島公園まで歩き、南平岸駅前までタクシー1400円。すっかり高くなったものだ。3時近く帰宅。水を飲み4時近く就寝。