須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 久しぶりの映画

 午前6時、目覚め。6時半、就寝。カップ麺、ナットウ、冷水、黒糖ロール1、カフェオレ、冷紅茶。6時現在、くもり、23・9℃、湿度81%、最高気温28℃の予報。
 9時半過ぎ、家を出る。地下鉄でススキノへ。10時10分、スガイビル着。7階の「スガイシネプレックス札幌劇場」、サービスタイムで1200円。こういう大金を出して映画見物するのはいつ以来か、あまりに遠い昔のことで思い出せない。席に着いたのが20分ちょい前。10時20分から第一回とHPに書かれていたのを見て来たのだが、これがなかなか始まらない(後から「MovieWalker」というサイト見ると10時45分となっていた)。RSのコンサートのようになかなかスタートしない。客は11、2人前後。天井の高い館内にRSのヒット曲が流れること30分近く、その後、予告編を何本か、結局「ブライアン・ジョーンズストーンズから消えた男」が始まったのは11時ぐらいか。
 まったくRSの協力なしで制作された点から考えれば、相当よくできている。と自分としては思う。特に娯楽作品として。MJやKRがどんな冷酷狡知な悪人に描かれているのかと期待していたが、メンバー間の葛藤みたいな部分は全面には出されず、けっこうお耽美なキレイゴトに作られていた。映画の中のMJはーそう頻繁には出てこないのだがー常に真面目かつ不機嫌で、苛立ちが伺われるシーンもあったけれども、BJへの露骨な無視やイジメについては描かれていない。現実にはもっともっとドロドロしていた筈なのだが。いい時に死んだのだと思う。死後三十数年経ても映画になるのだから、持って瞑すべし。幸福な人だ。生きていたら復活を遂げたかもしれないが、まったく何もやらずに完全な廃人(さらにより以上の)になっていた怖れのある人だと思うから。それから、これは修正なしの画像であったら、けっこう唖然として、次には笑ってしまうかもしれぬシーンが何ヶ所かあった。現にKR役の役者の股間は暗いなかにもそれとなく見えている場面があった。それにしても主人公のBJはもちろんだが、恋人のAPや、それほど出番のないMJやKRやCW役の役者、実に凝った役作りであり、容姿も似ているが、さらにそれ以上に喋り方や姿勢、仕草の醸し出す雰囲気がそっくりで、こちらが現場で目撃しているが如き臨場感がある。皆さんよっぽど研究したものと見える。だが、残されているほんもののBJの写真や映像の方がはるかにカッコイイのは主役をやる俳優としては辛いところだ。それとメンバーでの演奏シーンは冒頭を除いてほとんどなく、RSと関わりなく作られているがために著作権の関係で、流れる曲も「リトル・レッド・ルースター」「ノット・フェイド・アウェイ」他、元々がカヴァーのヒット曲でオリジナルは一曲もなく、それをまた現代のミュージシャンがカヴァーしたモノばかりなのがちと残念なのであるが(例外として幻覚状態を描いているところではJ・エアプレーンの「ホワイト・ラビット」が流れる)、まあ、BJ自体が曲を作っていないのだからそれも致し方なしだ。BJが最期を迎えたA.A.ミルンの旧宅の感じが掴めたのは収穫。実にしばらく忘れていた映画見物という贅沢をしてしまった。
 地下街に降りて、「小鳥の広場」のインコらに挨拶、<紀伊国屋>、<リーブルなにわ>で文芸誌立読み。南平岸へ戻り、<百円市場>で、牛乳、もめんとうふ、柚子ドレッシング、バナナ、プロセスチーズ、計478円買う。

 平岸街道から左折して月寒方向へ向かう道路の右の舗道を歩いて行くと、閉鎖した病院の玄関前に横になっている人がいる。ススキノでもないのに昼間から酔っぱらいか、と思ったが、目を瞑り、腕枕して横向きに寝ているのはワイシャツを着た老人。前を歩く人に習って、そのまま通り過ぎようとしたが、このままあの爺さんが帰らぬ人になるのも後味悪し、と5メーターほど歩いたところで引き返し、「大丈夫ですか?」と声をかけてみる。と、目を開け、頭を心持ち上げて、「119お願いします」と云うので、慌てて車道挟んで斜め向かいの交番へ救援求めに走る。冷房のほどよく効いた所内でお巡りさんが三人お食事中。事情話すと「分かりました」と応えたので表で待っていたが、完全装備してからでないと外へ出てはいけない規則になっているらしく、なかなか(とは申しても1、2分ほどだが)出て来ない。一緒に老人の倒れているところへ戻り、お巡りさんが一言二言質問して救急車へ連絡する。と、突っ立って成り行きを見ていた自分も住所氏名電話番号を訊かれる。私は無実です。やましいことは何もしていません。と訴えたかったが、逮捕されては合わないので正直に答える。
 <セブンイレブン>でDION7月分4378円を払いて後、帰宅。3時となる。交番から電話。病院へ運んだ老人、無事の由。
 シャワー。冷やうどん、ロールパン2、バナナ1、冷水、冷紅茶。保冷剤をタオルに巻いたのを頸にまいて、さあ、仕事と机に向かう。その姿が復讐のせむし男のようであると妻が評す。食事を摂ったのがよくなっかたか、だらん、としてしまい、ひとまず仮眠と横になる。が、保冷剤枕が心地よく9時まで快眠。起きて冷紅茶。日記。
 2時過ぎ、燃えないゴミを投げに外へ。この夏初めて、涼気を感ず。シャワー。3時、茄子の挽肉詰め、北海道産本ししゃも、冷奴、米飯、ナメコみそ汁、水、チョコ、紅茶。午後1時半就寝。