須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

ハチの形見分け

 1時に鳴った目覚ましを止め、午後6時半起床。すっかり昼夜が逆転してしまった。インコを起こす。トリさんたちは昨日今日、主人の不規則な生活のせいでお天道さの光を浴びられず。

 メールチェック。入金一件、<楽天>から注文三件。ジャン・デュトゥール「ワトスン夫人とホームズの華麗な冒険」、G.ジュネット「物語の詩学」、都筑道夫「死体を無事に消すまで」。三件は2月以来のことなり。牛乳のみ飲んで後、注文品を探すが、3冊ともすぐ見つかり安心す。

 あわてて7時半から米をとぎ、洗い物。8時、妻帰宅。今回はバック二つ、主なる輸入品は米と魚介類の他にビスケット。「ほら、君の好きなハチのビスケットよ」と云われて、袋入りのビスケットと乾パンを7袋受け取る。聞けば、向かいの家の犬にあげたいからと、岩内の義母に頼まれた妻がそこいら辺のスーパーで105円で売られている祖末なものを(一応オリゴ糖入りの人間用なのであるが)、何袋か買って実家に運んでいたものがあったのであるが、その大食漢であった犬のハチが最近老衰でお亡くなりになり、不要になったビスケットに豪華乾パンが付されて逆輸入されて来たという訳なのだ。妻はこのような粗悪なビスケットは食さない。かかる粗菓を取り分け好むという嗜好はないが、自分は食い物を無駄にできない性分なのである。明日から数週間、生前一度も顔を会わせる機会のなかった今は亡きパグ犬のハチを偲びながら、彼の遺品のビスケットをもそもそ食べて仕事をする日が続きそうだ。まぁ、これは顎にもあまり負担にならないだろう。

 18時現在、曇り、20・4℃、湿度72%、北西の風5m/。

 入浴後、第一食。マグロの刺身とポークを焼いたもので米飯。まだ顎の具合よくなく、肉は残す。

 松井、日米通算400号HR(日本で332本、米で68本)。米のハリケーン災害。イラク戦争で費消されている金の2週間分があれば、以前から懸案事項に上がりながら却下され続け、ついに今回決潰した堤防の補強修繕工事の施工が出来ていたという。ニューオリンズの街路ではミシシッピー川から御出でなさったらしい鰐サン(立派だろうな)や鱶サン(巨大だろうな)が泳いでいるとか。

 人様のブログで見沢知廉の自殺を知り、asahi.comを見、次いでHPを訪問してみた。現在ほとんどの著書が絶版になっており、復刊ドットコムに投票して下さい、と呼びかけていたり、入院費他で経済苦しく、エッセイ、雑文の仕事要請メール下さい、と訴えかけていたり、悲痛である。やはり金の問題というのは常についてまわる厄介なものであるなぁ。金の奴、この須雅屋とはロコツに縁がないが。あと、他の作家や有名人と一緒に収まっている写真をあまた、嬉しそうに(というふうに見える)公開しているのも、作家のサイトとしては珍しく特徴的であると見えた。この写真コレクションの掲載は、ナルシーであり、ミーハーであり、おそらくさみしいお人であった故人の綯い交ぜになった心の表出とみえ、これもまた見ていて痛々しい。8階からの飛び降り自殺。46才。結果として8階に住処を定めたのがまずよくなかったし、加えて酒を飲めなかった、というのも鬱々に拍車をかけたのだろうな、と最後は酒呑みの自己弁護に至り、朝7時就寝。断酒。