須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

5月24日 火曜 妻帰る

 くもり時々小雨。

 1時過ぎ起床。

 埼玉のお客にnet送金で1970円返金。2週間ほど前、楽天でハヤカワ文庫「ペガーナの神々」(ダンセイニ/荒俣宏訳 実は妻の本である)の注文あり送ったのだが、カバーの折り返しに難あるので代わりがあるなら取り替えてくれとメールが来た。幸いもう1冊在庫があったので、今度はよくあらためて、まず美本と言いうる本を送った。数日して送り返してきた先の本を見たが、何処が悪いのか分からなかった。しばしの間、じぃーと眺めて点検しているうちに、折り返し部分の端の端に極僅かなオレメがあり、これのことを言っているのかと、拍子抜けした。同日またメールが来て、二冊目を今日受け取ったが、前のものより状態が良くない本が来て、どうしたらいいか悩んでいます、と新たな文句をつけて来た。これ以上このお客さんにお付き合いする能力は自分にはないので、その旨丁重にメールでお詫びし、二冊目の本はお客さんの方で自由に処分していただくこととし、前金で送金してもらっていた1970円を教えてもらった口座番号に振り込んだのである。これまでは、異常に美本にうるさいのは男と決めつけていたが、これは女で意外であった。かようなお人はタイムマシンを発明して過去に旅してもらい、当時の新刊屋さんで買ってもらうしかない。

 4時前、平岸六条郵便局へ行き、冊子小包2ヶ発送。『彷書月刊』6月号掲載目録に入った注文書、星野立子句集「鎌倉」、松本亮「詩集ポケットの中の孤独」(書肆ユリイカ)なり。

 ATMでぱ・る・るから金おろし、昨年の国保料の四期分目一つだけ払う。3600円。先ほど部屋のドアを開けて外出しょうとした時点までは、6月からの保険証切替えに備え(というか保険証を確保するため)、二つ分7200円を払おうと決めていたのであるが、MS出る前に郵便受けを見ると短期ではあるが新保険証が本日無事配達されており、いやあ、これはめでたい、ほんじゃ二つはもちろん一つも払うのはよそうかなあ、とも思ったのであるが、気持ちの弱い自分は、少しでも役所の心証をよくしておこうと、大枚を投じたのである。

 その後、近くのコンビニ<セイコーマート>で電気代3月分5340円、DION4月分4418円を払い、酒パック100円2ヶを調達し、<ホーマック>(ホームセンター)でセロテープを買い帰宅。
 7時過ぎ、米をとぎ終え、食器を洗おうとしているところへ、妻が帰って来た。両手に岩内から運んで来た米、魚介類他の食料の入ったバックを抱えて。日曜から岩内の実家へ行き、昨日は義母を連れて札幌北大病院へ来、また送って岩内へ戻っていたのだ。

 9時半入浴。これも義母から貰ってきた爪切りで爪を切る。そんなにいいのにと言うのに、3個もくれたそうなのだが、義母の心遣いと共に、スイスイ切れる爪切りの進歩に感動する。タコ刺しで日本酒。テレビがイカレて音が出なくなったので、ラジオのTV音声を流しながら画面見ている、と実家で言うと、「新しいの買えばいいっしょ。なんで買わないの」と訊かれ、答えに窮した由。そうだよなあ、今時、5000円もあればテレビ買えるんだからな、と思いつつも聞こえないフリをしながら酒を飲んでいたのであるが、「生活保護で17万貰えるんだよ」ともアドヴァイスを受けたそうで、そうか、そんなに貰えるのか、どういう身分というか条件が揃えば貰えるのかな、今度調べてみよう、と自分は考えた。

『彷書』の賞のことは自分の実家はもちろん、妻の実家にも知らせてはいない。というのは、描かれている生活の実態の恥ずかしさもあることながら、妻の実家について一部ではあるが、いささか誇張してと言おうか、事実が歪められて書かれている部分があり、以前から甲斐性なしとは分かっていたが、ここまで恩知らずの人非人であったとは、とあきれられ、魚介類その他を分けて貰えなくなるかもしれぬと、想像してのことなのである。

 ロッテvs巨人、先発上原4失点、9回に出て来た清原派の真田(清原に準じて今年は頭を坊主にしている)が5点取られ、一方ロッテの小野は完封、11−0で巨人惨敗。うっしっし、と小気味よし。どうやら、ロッテのこの勢いは本物みたいだ。このまま突っ走ってもらい、できれば最後まで行ってもらおうじゃないの。王さんには悪いけれど、一年目から孫正義の喜ぶ姿は見たくないのである。以前NHKでやったオーナー討論会では、金に飽かせて選手を集めるというナベツネと同じ手法で球界を(彼の夢としては全世界の球界を)牛耳ろうという露骨な野望を、決して隠そうとはしていなかったのだ、あの禿げ玉子。禿げに関しては、ひたひたとその恐怖が自分にも迫って来つつあるので、天に唾するようなものなのであるが、あちらは金のある禿げ、こちらは金のない禿げ(まだ予備軍のつもり、一応)、負け犬の遠吠えで、憎まれ口の一つも叩きたくなるんである。

(日記タイトルを「ふるほん地獄めぐり」から「古本暗黒世界」に変更した。これは昨年半ばまで、断続的に記していたノート日記に付していた題名に同じである。5月30日)