須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

土曜 東京の住い

 午後4時起床。牛乳、紅茶、冷水。梱包1。うどん、ナットウ、冷水、ミートパイ2、紅茶にて固形物第一食。
 9時、古本入力。「ジャズ・トゥナイト」はマハビシュヌ・オーケストラ。FAX受注、伊地知鉄男編『連歌論集』岩波文庫。この伊地知さんという方は東京中野区鷺宮の自宅敷地内にアパートを建て、学生を住まわせていた(スガも住んでいた)あの早稲田大学の伊地知教授ではないだろうか。壁が襖のように薄く伝音性に優れており、隣が何をしているのか目に見えるようにわかる部屋で、もう一度住みたいとは決して思わないが、無性に懐かしい。古本業界に入ってから、文車の会編の蒐書家リストに名前が載っているのを見て、ほう、あの家の中には随分と本があったのだなぁ、とオノレの無知を棚に揚げ、意外に思ったのを覚えている。ある日、家賃を払いにいったら夫人から、「須賀さん毎日朝まで灯ついてますけど、勉強してらっしゃるのね」と云われ、「いや、ただ起きてるだけです」と応えると、「どうせ、小説でも書いてるんだろう」と奥から教授が口を挟まれた。おそらく教授ご夫婦はすでに亡くなっただろう。三日に一度ぐらいの割合でアパート廊下やトイレの掃除にきたご子息の奥さん(おそらく当時四十代前半か)はどうされているか。第一書庫で探索二十分。(その後、たまたま眺めていた平成十年五月発行の『國文學』の「消息欄」で伊地知先生が同年三月に九十歳にて亡くなっていたのを知った。)
 本日の気温、零下4・1〜3・6℃。カツオ刺身と同たたき、エンドウ豆天ぷら?、モヤシとワカメ和え、ワカメみそ汁、米飯、玄米茶にて第二食。古本入力。午前八時、52点UP。午前九時就寝。