須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

6月3日(金)サッカーと同時代の作家たち

 4時起床。曇り。最高気温19℃。昨日より6℃下がる。起きた時にはすでに肌寒し(当たり前だよな、夕方だもん)。春らしい春もないまま、冷たい夏となるか。

 テレビとブログ眺めながら、食事、カフェ・オレ、紅茶。

 昨日から報じられている、ガードレールに付着した尖った金属片の発見が日本全国に広まっている。気まぐれのイタズラか、組織的な悪意か、接触したクルマが残して行った偶然の産物か、不気味なり。

 『彷書月刊』6月号目録へハガキ注文あり。『高田敏子詩集』(花神車)詩人宛献呈サイン本2500円。詩人とは昨年亡くなった河邨文一郎さん。昨年秋、2ヶ月、計三回に渡って札幌古書組合の市場に出品された旧蔵書で落札した口に入っていた本。医大の先生をずっとやってた方で、詩のエコールとしては金子光晴のお弟子さん、一番知られている作品となると、やはり、トワ・エ・モワが歌った札幌オリンピックのテーマソング「虹と雪のバラード」の歌詞。うーん、いい曲でげした。札幌オリンピックというとジャンプの日の丸飛行隊なんてのもあったけれど、自分らの世代はなんといっても、フィギィア・スケート尻餅のジャネット・リンである。売上目標達成まで、あと1万と500円となる。

 妻の話によると、すすきののI書店の入口、目につくところに「店内デジカメ撮影お断り」という注意書きが貼ってあるという。以前から、この業界では「同業者お断り」という貼り紙している店はあったが、「写真お断り」とは時代も変わったもんである。最近は元々、古本にも古本屋にも興味のなかった連中が、新古書店はもちろん伝統派旧型店にも出入りし始めている。聞くところによれば、「元金がない者は、人のフンドシで楽してネットでもうけよう」と奨励しているハウ・ツー本を読んで、そこに示されてあるとおりに、他人の店の本を携帯で撮影した画像をヤフ・オクなどに流して、注文入ったら買いに来る、というとんでもないマネを実際に試している(たいていウマく行かないようだが)、いい度胸をした非常識以前の人間、不逞の輩が増えているらしい。ああ、げに恐ろしき時代なり。

 横浜、日ハムは負け、巨人は連勝。Gのピッチャーは、昨年横浜に在籍していたマレンで、たしか前回もいいピッチングをしていた。横浜に解雇され、米の二軍にいるところに巨人からお呼びがかかったらしい。中日に渡したドミンゴといい、横浜ってほんと気前がいいんだから。

 12時15分、入浴済ませ、用意万端整えて、テレビを注視するも、サッカー「日本×バーレーン」戦、過去の試合や「北朝鮮×イラン」の画像ばかり映して始まらず。テレビ局の策略にまんまと嵌まってしまった。結局、キックオフは1時半。故障して音声の出ないテレビで観戦。ふた月ほど前から、ラジオでテレビ音声を流して画面を見ているのであるが、朝日、フジ、東テレは、地形と電波の具合が悪いのか、それともたんに機械が悪いのかラジオでも音をキャッチできないので、無声映画のようなサッカーを見る羽目になった。前半34分、小笠原のシュートで上げた1点を守りきり、勝利。中田が加入してチームワークが乱れるかとふんでいたのだが、予想が外れて好かった。それにしても1点のまま終わるところが日本らしい。

 観戦後、楽天へ5点UP。朝まで日記書き。断酒。

 寝床で広津和郎「同時代の作家たち」(岩波文庫)拾い読み。「牧野信一」にスケッチされた牧野像、以前読んだ作品から受けた印象そのまんまで的確というか見事。まさしく、素面の時はこんな気弱な寂しい人であったろう、と想像される。この折に、広津の紹介で『中央公論』に持ち込んだ原稿というのは何であったのか。手元の「中公日本の文学」の年譜を捲ってみたが、「バラルダ物語」「鬼の門」あたりであろうか。

 朝9時半就寝。