須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 電話でススキノ5軒

 午後2時半起床。12時現在、晴、12・6℃(最低2・8、最高13・8)。3時、お客さんのT畑さんから電話でお誘い。5時にジュンク堂詩歌の棚前で待ち合せすることに。うどん、ナットウ、冷水、カフェオレ、紅茶。梱包2。野坂昭如本がたくさん萌黄書店に入荷したとの情報あるので行ってみるように金子君へメール送る。ほんとですか?絶対行きます、と返信来る。4時40分出。

 地下鉄で大通。地下街を通って行こうとするが何処から地上に出たらいいいのか迷う。14分遅れてジュンク堂着。まだまだ明るいススキノへのんびりと歩き、南5西4ニュー美松ビル<酒房びって>へ。生ビール、それから日本酒を冷やで(さらりと飲める道産地酒、名前失念)。さすらいのライター、天才ジャーナリスト小笠原君に出て来ないかとT畑さんの携帯電話で誘ったところ、いま洞爺湖温泉にいると云う。「仕事?なんかの取材?」と訊くと、「ええ、ちょっと私用で」と言葉を濁す。はは〜ん。その道には暗い自分でもピンと来た。洞爺湖で噂の彼女とバカンスと洒落こんでいるらしいのだ。憎いぜ!小笠原!

 T畑さん、1月の23日にお会いした折に読書中だった『戦争と平和』新訳の後、『アンナ・カレーニナ』を新訳で再読、『復活』、『カラマーゾフの兄弟』新訳、藤村『夜明け前』(これはそのまた以前だったかも)、有島武郎或る女』などを読み、前回お会いした時に須賀が推奨した吉村昭『冷たい夏、熱い夏』を偶然数日前に、カフカ『城』を昨日と今日で読まれたと云う。また数年前に読んだ由の長塚節『土』を傑作と絶賛される。『冷たい夏、熱い夏』は病院サイドからがん患者への現在の対応に比べるとやっぱり話が古いし、それに本人や周りの反応がちょっとオオゲサだよ、案外もっと平静に受けとめるものだよ、とご自分の入院手術体験を踏まえた感想を述べられる。相変わらずの読書量に感嘆すると、学生時代に哲学書と格闘したせいか大概の小説本はすらすら読めてしまうそうだ。自分ももう少し読まなくてはと反省。前回も感動したように実に落ち着ける店なのであるが、経営者の女性(つまりママということになるが)が風連町出身と聞くに及び、風連町の◯◯建設って知りません?としばし話がはずむ。◯◯建設さんは某古書店夫人だった方のご実家の筈で、広い北海道なのにいろいろ縁が重なるものであることよと驚く。

 ほどよい音量でジャズの流れる居心地のいい店内で、三平汁のほか、つぶ貝、鮭フライ、鰈煮付け、豚角煮、牡蠣煮付、ポテトサラダ、モズク酢ほか、カウンターに並べられた肴を片っ端から平らげ、2時間ほどいてビール1、冷酒を4、5杯飲む。その後、三条美松ビル地下<ハーフノート>で豊口健さんピアノソロライヴを聴きながらウィスキー水割1、南3西4ビル10階<ドゥ・エルミターヂュ>という<やまざき>ご出身の女性がやってるバーでマティーニギムレットをカンターに零しながら各1。T畑さんによると<やまざき>は火事になる前に現在地よりもススキノ奥地の1階で営業していたそうで、そこが風格のあるいい感じの建物であった由。それから南3西3G DINING SAPPORO地下<AZUBAR>というカッコイイお兄さんがカウンターにいる店でウィスキー水割2?、最後、ジャスマック五番館ビルのスナック<yu's>でウィスキー水割。モップスを2曲歌うがこの辺りから記憶曖昧。もちろんすべて御馳走になりタクシーで自宅前まで送られる。11時半帰宅。午前3時半頃に目が覚め、少し吐く。冷水。寝られず5時ぐらいにようやく眠る。