須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 叫ぶ古本詩人の会

 午後2時半起床。夢。札幌古書組合現理事長I書店さんから店に喚ばれ、モデルの絵を見せられて、こういう感じで店の看板(横長)を描いてくれと頼まれ、なんでオレがと戸惑う。その後、Iさんの自宅を訪ねると留守で、二階に上がりこんで待っているうちに寝てしまうが、やがてI夫婦の声が一階玄関の方からして目が覚めるというもの。12時現在、晴、11・3℃、湿度53%、予想最高気温13℃。トースト2、ミニあんパン1、牛乳、紅茶、冷水。
 昨日、大通三越の前で優勝祈願の餅つきが行われた由だが、今日はまたまた札幌市内で賑々しく優勝セール紅白饅頭に振る舞い酒、ごっくん。薄切りハムも配られているとニュースで流れているが、明日のオカズを確保に行くべきかどうか迷うところだ。新庄は札幌ドームのマウンドで引退会見。ちと驚いたのであるがあのヒルマン監督というのは自分より6歳も若いのである。いやんなるねえ。
 7時、鮭の味噌漬け、ナットウ、米飯、キムチ、うどん。7時半、創成川近辺の特集テレビ番組を見る。昨年から始まった地下工事で創成川が埋め立てられたと早合点して怒りを覚えておったのであるが、工事終了後の平成11年には川は復活するそうな。なんだ。それならそうと早く云って呉れれば良かったのに。いや、知らなかったのは自分だけであったのかしらん。これも初めて知ったのであるが(「札幌市史」や「札幌文庫」のシリーズとか読むと書いてあるのだろうが創成川沿い柳並木は札幌オリンピックの前年に植えられたものの由。
 入力。ジュブナイル推理小説「ナンシー・ドルー・シリーズ」。その7巻目「消えたプリマドンナ」。冒頭からいきなり婦人警官が18歳の少女探偵ナンシーに「ひとつお力を貸していただきたいことがあるのです」なんていう風に捜査協力を依頼して来る。いやあ、現実無離れもここまでくるとかえって爽快で読書欲が湧いて来る。
 深夜2時、FM「北海道発ラジオ深夜便/原点は北の大地」。ゲストは池澤夏樹。札幌放送局の若い女性アナウンサー相手に先日の講演で聴いたのとほぼ同じ話をしていた。それから十八番(オハコ)の自作詩の朗読。並べ立てて述べると何とも烏滸がましく、池澤ファンから石礫が飛んできそうなのであるが、実を申さば自分も朗読大好きな男であって、結婚するまでは自宅で友人と酒を飲んで酔ってくると、いきなり、よっしゃあ、やるぞ!などと勝手に宣言して立ち上がり、田村隆一吉増剛造清水哲男正津勉平出隆(「花嫁」)、辻征夫、ねじめ正一、などの詩を周りに有無を言わさず入口を背にして(つまり部屋から出られぬようにして)朗読するという悪癖があったのである。文学好きな友人たちの前ではあったが、詩や朗読が苦手な者にとっては(詩の朗読というのは、一部の詩人のを除いて、おおむね聴いていて恥ずかしいものがあるのである)さぞかし苦痛であったろうと思う。カラオケやエアギターと同じで、他人にどう映ろうが、はた迷惑であろうが、滑稽であろうが、やり始めるとこれは快感なのである。現在はポエトリー・リーディングと輸入語で銘打って、この詩の朗読ちゅう奴が大流行りであるらしいのだが、「肉声の復活」とか「詩に声の復権を」とかいろいろ理屈をつけておるが、ちょっと乱暴に云ってしまえばその本質は(素晴らしい表現=作品たり得ている例外もあるが)、観衆の前でギターを弾いたり、歌を歌ったりする技術、能力のない人間のフラストレーションの発散、演奏や歌でパフォーマンスできない人間の快感の追求、自己主張の発露、つまりは自己満足にあると思う。それはまあ兎に角、ここはひとつ「叫ぶ古本詩人の会」でも結成して全国ライブ行脚に出るとするかな。これで古本売上の不足分をカバーしたろう。どーですか、このサイドビジネス。他のメンバーは薫風書林と、あと誰にしようか。そのうちCDとかも出したりしてね。いやあ、夢が膨らむわ。
 <楽天>へ17点UP。洋梨、食パン1、麦茶。午前4時前就床。断酒。