須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

日曜 肉に遅れる

 正午前、鶴見さんからの電話で起こされる。2時から店ビルの2階でバーベキューをやるから来ないかとのお誘い。昨日から分かっていれば万象繰り合わせて訪ねるところだが、寝が足りず、また冷蔵庫の件もあって元気が出そうになく断る。

 4時半起床。15時現在、晴、21・5℃。鶴見さんに電話。ほんとうはある件をお願いに電話したのだが、云い出せず、「まだやってるからおいでよ。ストーンズのDVDの4枚組もあるからさ」と奨められるままに訪問することになる。ついで小笠原君に電話して、「金のことじゃなくてさあ、お願いがあるんだけど」と同じある件を頼む。急な話であり、頼まれた方はただただ迷惑なだけの煩わしき用件であり、そう簡単に答えが出る訳がない。札幌市は850円かかると云うと苫小牧は無料だと情報を教えてくれるが、850円もないが苫小牧まで行く金はさらにない。薫風書林に電話するも店自宅ともに不在なのでメールでSOSのお願い。

 6時半、牛乳と十分に冷たくはない冷水を飲んで鶴見さんの店へマラソンで向かう。7時前着。屋上まで上がるとちょうどでバーベキューの残骸を片付けの最中。女性4人、男性鶴見氏含めて三人。外は寒くなってきたので部屋で飲むことにしたところの由。ビール、焼酎、日本酒を飲む。腹が空いてるなら肉焼くから、と云ってくれたので、おおっ、と、今出るか、今出るか、と心待ちにしていたが、他の皆さんは十二分に焼肉を堪能したらしく、12時から飲んでいるという鶴見さんは相当酩酊の態で、結局肉類がテーブルに上がることはなく、ピーナツや柿の種ばかりをぽりぽりやって、ストーンズのDVDを観賞。

 紹介受けたばかりの藤野に住むという鶴見さんの友人がある件を引き受けてくれることになり、取りあえず問題が解決しそうなので、ほっ、として妻に電話連絡、やや安堵したせいか酒が進む。男のもう一人はすらっとした福山雅治似の30前後と思しきなかなかの美男で、やはり女の子が周りを取り巻いて「イトウさん、イトウさ〜ん」と盛んに話しかけているのであった。ジャージの上下姿という自分の部屋からそのまま出て来たような恰好なのであるが、大概の日本の成年男子がジャージの上下を着ると立派な日本のオヤジ化するというのに、やはり美男はジャージ姿もワイルドにカッコよく得なことなのであった。憎い。

 やがて夜が更けるにつれ、皆さんお帰りになり、鶴見さんのすすめるままに新たにやって来た男性とビル1階の居酒屋、営業時間の過ぎた<北斎>でサッカー日本ーマルタ戦を見るながら飲む。イカ納豆が出る。男性に南平岸まで送ってもらい、自分には何も関わりのないマンションの裏などを徘徊した後、自宅に向かってHTBの坂を上っていたところで薫風書林が前を歩いているのを発見。ある件のことを話すと引き受けてくれることに。定山渓に近い藤野はとてつもなく遠く思われていたところであり、さきほどまでアカの他人であった人の家を妙な目的のために訪ねるのも、どうもちと臆する気持があったので、大いに助かる。薫風佐々木君から後光がさしているかのように見えた。ここで佐々木君に会ったのも何か不思議な力が働いていたとしか思えない。某マンションの裏を探索したりしなければ、自分はとっくに先を歩いていて、出会うこともなかったろうから。12時過ぎ帰宅。妻に報告、風呂に入らず水を飲んで寝る。