須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

姿を眩ましていたいのだ

 1時起床。グレープフルーツ・ジュース、冷水。12時現在、雪(1時現在この辺りは晴れている)、−2・3℃、東の風3m/s、湿度72%、日中最高気温−1℃。

 3時過ぎ、灯油をGSへ買いに行き、即戻る。年賀状、妻宛いれて17通。お客さんのYさん、蔵書の半分をK堂さんに引き取ってもらい移転した由。教えてくれなくてもよかったのに。須雅屋に金がないのをよく知っている人だけに気を遣ってくれての報告なのであろう。これはまことに当然の成り行きなのではあるが、せいぜいが預かって市場に出品するしか出来なかったにせよ、ちと悔しい。まあ、売り先が◎◎堂とか△△書店ではなく、K堂であるのがせめてもの慰めである。須雅屋のアルバイト要員第一号であったM君から年賀メール。北大卒業後、ある公的金融機関に就職し、現在はその東京本店に勤めている。店を閉めるまでのあいだに数人の北大生にアルバイトをやってもらったが、彼らが実社会でちゃんとやっているのを知ると、不甲斐ない我が身を忘れて嬉しくなる。

 4時、うどん、ナットー、トースト2、コーヒー、紅茶、冷水、アイスクリーム・ビスケットにて第一食。食後、明日の支度少し。数年ぶりに取り出した礼服、試しにズボンはいてみると、思い切り腹をへこめないことにはチャックが締まらない。げに恐ろしい話である。明日、明後日、葬儀中に、血液の循環悪く、酸素不足で倒れはしないかとマジに心配である。親の葬式で自分が倒れるのは避けたいところだ。

 8時から日記付け。A本屋さん委託分の<楽天>から受注一件。潮文庫鶴見祐輔バイロン」。バイロンという名前を見ると、三島由紀夫ボードレールリラダンなどと共にバイロンが好きであったNさんを思い出す。おそらく開店の頃の自分が古本屋として最も直接影響を受けた人。Nさんの店<B>が姿を消してからもう20年になる。
 11時半から1時入浴。上がって酒。ビール、浦霞。肴はメジカ(鮭)の刺身、和牛中落ちカルビ、ワカメともやしのサラダ、湯奴、プロセスチーズ、それに焼き味噌おにぎり一ヶ。刺身とカルビはデパートの年末破格終値の物をねばって女房が確保したもの。

 朝には帰郷。葬式。兄以外の親戚たち(母方の)に会うのが実はとても憂鬱なのである。ほんとうを云えば自分は一生姿を眩ましていたいぐらいなのだ。しかし親の葬式に出ない訳にもいかないから諦めと忍耐でやり過ごそう。3時半就寝。