須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 妻へ来た手紙

2時半起床。

 トイレに入ってるところにチャイム鳴り、「はーい」と返事してほどなく、お待たせ〜、と出てみると妻宛に郵便局のEXパック。差出人欄にはボールペンで兵庫県のTS。TSってあのTS?うちの女房とお友だちだったの?、いつのまにか、それとも同姓同名の別人?という疑問抱いたまま外出。

 郵便局で振替口座、ぱ・る・るJNBから金集め、下界へ下り、農協で家賃1月分残32350円振込み、帰宅。

 起き出していた妻に訊いてみると、先ほどの郵便物は果たして、作家のTSさんからであった。なんでも、文庫本になったTさんの著作を読んだところ、Tさんの資料とされた物(雑誌のキリヌキ)では吉屋信子の対談相手が不明となっているのを見て、その雑誌は『新青年』でその訪問記者は阿部正雄久生十蘭でございますと、たまたま当該の号を所持していた妻が、手紙でお教えしたのだそうな。誰か十蘭の専門家からすでに指摘があったかもしれず余計なことでなければいいが、と危ぶみつつお送りした手紙へのご返事であったが、毛筆で和紙の便箋三枚に及ぶ丁寧な文面。でも、見事な行書体で半分ぐらいは何が書いてあるか判読できず、妻に助けられて読んでみると、謝辞に加えて、現在ご自身の全集編纂中で多忙、ために返事遅くなり申し訳なし、という内容。ご著書も毛筆献呈署名入りで同封されている。まあ、T先生っていい人。こんな手紙を書ける作家は今後はもう出ないだろう。それにしても、この手紙、署名本共いづれ売物になるな、と自分は思わず、むふむふしたのである

 5時前、兄に電話するも通ぜず。携帯電話に伝言入れ、FAXも送っておく。家賃を払うために交通費捻出できぬ故、葬式欠席する、スンマセン、と。半ば事実であるし、本をリュックに背負って何処かの古本屋に持ち込めばそれぐらい作れぬでもないのであるが、気持が進まぬのだ。弔電を頼もうとNTTフリーダイヤルへ電話するも、「ただ今大変に混雑しております。」の音声が流れるばかりで繋がらず。この季節は死人が多いのか。ようやく出たオバさんの口車に乗って、弔電代予定より三百円オバーして千円越える。さすがはプロというべきか、それとも自分が甘いのであろうか。

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