須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

日曜 古本市店番5

 午前7時15分起床。うどん、ナットウ、冷水、ミニ餡パン1、牛乳、紅茶にて第一食。

 8時25分出。地下鉄ですすきの。9時から、初売りの〈ラルズ〉古本市店番。小樽I書店さんと一緒。出身店の弘南堂さんへのお歳暮や、そのお返しなどの話を聞き出す。普段は風呂上がりに発泡酒を1本飲む他は、家での飲酒はやっていない由。かと云って、外でゴージャスに飲んでる訳でもないようだし、煙草もやめたそうだし、観劇や音楽鑑賞の趣味があるとも聞かないしで、一体人生何が楽しいのだろう?分からない、と余計なお世話であろうが、やはり人生いろいろ、古本屋もさまざまであるよなぁ、と今更のように思われ、かえって感心してしまう。

 予想通り混んでよく売れる。であるから本来、2日初売りの店番は回避したいところなのだ。誰か知人が来るかと思って期待(?)していたが、特に親しい人やお客さんは現れず。店内放送と傍のラジカセから鳴る正月用販促音楽(獅子舞の伴奏みたいな)に、カップ麺が当たる籤を抽選する店員さんの大きな声に、これもすぐ傍で、スナック(辛そうなエビセンなど)や海苔他の韓国食品を売る催事の売り子さんの声が入り交じり、レジを打っていても頭が混乱して集中できず、神経が疲れる。途中から急遽、韓国食品分の会計も古本レジで担当させられることになり、日本のそれの半分ほどの量なのに値段は倍のエビセンをレジに差し出すご婦人達の流れも絶えず、また、会場に古本のお客は常時に五十人ぐらいいる状態なので気が抜けず、メシ休憩は取らないことに。

 選んだ本の入ったカゴをレジに持って来た若者あり、Iさんから最近小樽博信堂の店舗と屋号を受け継いだ人として紹介される。見れば、以前から自分も知っている小樽文学館のボランティアをやっていたS君ではないか。彼は前にもラルズ古本市にちょくちょく来場しており、小樽からわざわざ来るなんて、ほんとに本が好きなんだな、と好感を持っていた。先日、吉成君から、博信堂が代替わりして若い人が引き継いだと聞き及んでいたのだが、なんだ、そうだったのか、彼なら古本屋に向いている、と思う。ただし、今回買った本も自分の読書用なのかもしれないが、札幌のセリに参加すれば、いくらでも安く手に入りそうなモノが多かったようだし、亜本屋さんと同じように、ギラギラ感というか、脂ぎり感というか、抜け目のなさ感といったものがなく、欲のない心のキレイな人のように見受けられ、どうもそこいら辺は、ウマイこといくのかいなあ、と、またまた大きなお世話であろうが気になるところである。まあ、心があまりキレイとは云えない自分が古本屋として成功した訳ではなく、誰が見ても逆なのだから杞憂に過ぎないと思いたい。須雅屋にはなかった地道な努力、一途な真面目さで道を切り開いて行って欲しいもの。とにかく、本が好きで古本屋になった若者の出発を祝し、末永く商いの続くことを祈りたい。当今は、本が好きだからという理由で古本屋になった人を見ると、ホッと安心するといった具合にこの業界もなってしまったのであり、その数少ない一人なのだから。

 2時、亜本屋さんと交替。早めに現れた亜本屋さんが1時過ぎからレジに入ってくれたので大いに助かり、Iさんが昼食を食べ損なわずに済んだ。〈ラルズ〉地下と三階を物色し何も買わず、〈アインズ〉で目薬297円、南平岸Maxvalu〉で胡麻食パン、モヤシ2、もめん豆富、牛乳、マルちゃん玉うどん、ニッカ・クリアブレンド、フック、便座カバー、計1851円購入。

 4時過ぎ帰宅。賀状8通。持参オニギリ2、トースト2マーマレードジャム、紅茶、冷水にて第二食。受注。『二コマコス倫理学』岩文、『キップリング詩集』同、永田耕一郎句集『方図』『海絣』『雪明』。第一書庫にて本探し。小笠原氏とメール遣り取り。

  本日の気温−3・8〜0・8℃。梱包3。2時から、鶏背肉塩焼き、ゆでモヤシ、ホッケとサクラマスの飯寿司、塩カズノコ、醤油味イクラ、燗酒200mlカップ1、ウィスキーお湯割り3、玄米茶、午前5時就寝。