須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

水曜 9月交換会

 午前7時目覚め、7時半起床。6時現在、雨、20・5℃(最低18・5、最高24・9)、湿度65%。起きた時には曇り空。ピザトースト2、牛乳、カフェオレ、紅茶、冷水。

 8時半出。地下鉄で大通。セリ場へ向かう途中、薫風書林と一緒になる。9時5分、頓宮神社着。例によってすでに事業部員と理事の一部が集合して作業中。自分は古い岩波文庫を縛る。「最近ネットの売上落ちてませんかぁ?」「うん、落ちてる落ちてる、アマゾンもだけど、特に日本の古本屋がヒドい」「ああ、やっぱり、ウチだけじゃなかったんだ」「月100万単位で落ちたら店仕舞い考えないとなあ」などというスケールの大きい会話が聞こえてくる。自分も一度でいいから云ってみたいセリフであるなあ、と思いながら、ぎゅっ、と縛りに力入れる。先月分金券10300円払う。新人一人加盟。58年生れの同世代。特選市の前のセリにしては荷物多し。来月の特選市との兼ね合いもあり、入札は自分用にしてもいいや、とK画伯旧蔵、最旧版『西脇順三郎全集』のみとしたが落ちず、本日は一点も買わず仕舞い。アダノンキさん、エミリオンさんなど新興女性勢力の躍進が目立った。開札と発声は正午前終了。理事長分5ヶ、会計理事分20ヶなど集荷の荷物多く、特選市の目録袋詰めに人員が廻り、こちらを手伝う人がなく、いつも手助けしてくれる游書館君も来会しなかったので、今期始まって以来の労働量となる。積み上げられた大判美術全集数セットに憎しみを覚える。事業部長K君と二人で一階に荷物を降ろす。外面では、へらへらエンヤコラと、内面では、感謝の素振りもなくこの奇才を顎で使いやがってからに、今にみてらっしゃい、そのうち後悔しますからね、あなたたち、などと独白しながらやっているのだ。まあ、「そのうち」は来ないと思うのであるが。

 出品した岡本文弥『こちよれまくら』(昭和57)ほか芸能関係7冊縛りが3500円で売れ、席料手数料引かた2820円を貰う。事業部慰労金残り分2万2千円貰う。組合費取りあえず2千円払う。これでしばらくは組合をクビになることはないだろう。じゃんくさんより唐沢夫人からの配布本・唐沢俊一『人生で大切なこと(でもないこと)はすべて少年マガジンで学んだ』を1冊貰う。つくづく仕事が好きな人。

 リブロさんから「今日のスガさんは棟方志功に似てますね」と評される。額の武満徹化というか色川武大化しつつあるのは自覚しているのだが、棟方志功とはなあ、思いもかけぬ新しい自分の発見である。オレって七色仮面?ああ、でも才能なき棟方志功というのはビン底眼鏡をかけた猿みたいなもんでありサミシイ存在であるよなあ。
 1時、後片付け終り、頓宮出。B堂K君のクルマに同乗。太っ腹なK司君に生協西岡店前の<季らり>で餃子定食750円ご馳走になる。ドライブ日和の快晴の下、2時帰宅。

 特選市関連メールやりとりいろいろ。昨日の振替用紙を取り替えて送金して来た人、相当以前から『古書通信』探求書欄で◯◯◯◯◯を探していた人ではなかったかと思い当たり、出版の他に古本屋も兼業しているというのはあるいは作り話かとの疑い抱く。受注、トルストイ文庫『人は何によって生くるか』大12年。6時半〜9時仮眠。10時半、鶏モモごぼう巻き、海老ギョウザ、ネギとワカメのサラダ、ワカメとダイコンおろしみそ汁、米飯、玄米茶、紅茶。零時〜1時半入浴。2時から特選市封筒書き。組合に加入してからセリにこんなに多量に点数を出品するのは初めてであり、たかが封筒書きでもこれほど手間どるものだということを初めて知る。6時45分終了。睡眠剤として燗酒一合。午前8時就寝。