須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

月曜 古本市店番5、マガラーのこと

 午前5時50分目覚め。あと眠れず。8時起床。うどん、ナットウ、冷水、トースト1、牛乳、紅茶。9時過ぎ出。快晴。郵便局で金おろし、家賃を払う予定であったが、加入者即時払いの用紙を用意していなかったことに気づき、居宅MSへ走ってbackし、バタバタして、妻に呆れられたりしているうちに時間なくなり家賃は明日に延期することに。9時20分、あらためて家を出る。地下鉄でススキノ。

 9時52分、狸小路ラルズ着。亜本屋さん代理で古本市店番。今日は午前中と夕方5時半からは一人きりなのでいささか不安。

 10時開店してまもなく、ご年配の、そう70代かと思しき婦人が近寄って来て訊かれる。「カラサワトシユキの本ありますか?」「俳優の?」「いや、あの、ほら、雑学王の」「あ!唐沢俊一ですか?」「そうそう、唐沢俊一!」「古本マニア雑学ノートの正続がこないだまで出てたんだけど売れちゃいました」という会話が交わされ、調子に乗って「札幌出身なんですよね。実家が道庁の近くの薬局で」と喉まで出かかったが話が長くなっても困るので抑える。それにしても、下はおそらく小学生から上は古希、米寿(と勝手を書くが)のご年配の方たちまで読者の年齢層が幅広いのには驚く。たいしたもんだね。

 11時半、今日の店番コンビ吉成君来る。来場していた王子直紀さんという若い写真家さんを紹介される。神奈川在住だが奥さんの実家が三笠なのだそうな。たぶん札幌の冴えないオジさん古本屋のことなど一瞬にして忘れ去ったとは思うが。

 12時半〜1時半昼食休憩。社員食堂にて持参おにぎり2、番茶、冷水。吉成君に伊藤書房元町店へ就職の経緯訊く。なるほど、なるほど。人の運命とはどうなってゆくか分からぬものとも云えるし、やはりなるべき人間が古本屋になるのかな、とも思う。シャンティブックス君補充に来る。焼鳥じゃんぼ主人三宅さん来場、数冊買われる。亜本屋さんからバイト代5千円頂く。5時、休憩室で夕方休憩。持参おにぎり1、冷水。吉成君帰り、5時半から一人で店番。8時終了。現金はぴったり合ったが、もたもたしているうちに退出20分過ぎとなる。

 地下鉄で南平岸。 <Maxvalu>でモヤシ、低脂肪乳、マルちゃん玉うどん、計314円。9時半帰宅。本日最低気温16・7℃、最高29・4℃。

 受注『木下杢太郎詩集』文庫。第一書庫にて探索15分。第一書庫と寝室の窓開ける。入金あり、◯月分家賃その他目処ついたので(と云っても、たかだか5日先ぐらいまでの予算だが)妻に千円渡し日本酒「温情」2リットル798円を買ってこさせる。お釣り200円貰う。10時45分〜零時入浴。1時半から、サンマ刺身、イカのマヨ焼き、ガンモ丹波シメジ煮付、メカブ、日本酒二合、玄米茶。

 中日山本昌、巨人戦で200勝目達成。K2での死亡者は3人ではなく11人だった。巨大な氷塊の崩落に巻き込まれたそうで、K2での遭難事故史上最大規模の惨事の由。 

 妻からソルジェニーツィン死去の報聞く。89歳と聞いて意外に若いのに驚く。高校3年?の時、倫理社会の福津先生が、生徒全員持ち回りで毎回一人に何でもいいから考えていること、興味のあることを、教壇で30分ぐらいスピーチさせるという授業をやっており、自分は『イワン・デニーソヴィチの一日』について話した記憶がある。うろ覚えだが、作中、収容所における少量かつ粗悪な食事場面にマガラーという穀物?の一種が入っているお粥が出て来、これがスゴくマズいみたいなんですよ、と紹介したのがとてもウケた。と云うのも、室蘭栄高校には真柄先生という英語兼風紀担当の(兼1年時の担任だった)教諭がいて(1年が終わって転任して行ったが)、この人がやたらとすぐに叩いたり(女生徒も)、チョークが飛んで来たりする先生として有名で学校中で怖れられていたからだ。自分もヤラレタがさほど嫌悪の対称にならなかったのは、手の暴力もさりながら、言葉の手酷い暴力を思うままに振るって生徒の心を蹂躙した数学教師兼副担任の杉山という、思えば当時三十半であったろう男から、1年間に渡って受け続けた屈辱、恥辱のために真柄さんの言動の印象が緩和されていたためではないかと今にして思う。真柄さん、福津さん共に懐かしいがどうされていることか。

 書見。午前6時就寝。