須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

土曜 ああ、ミゼラブル

 午後3時起床。15時現在、雨、10・5℃、湿度84%。トースト2、ミニあんパン1、牛乳、カフェオレ、冷水。
 萌黄さんよりメールで佐々木丸美の復刊情報が入る。昨年亡くなっていたとは知らなかった。この何年間かネット上では随分と値が付いていたようだが、自分は店を閉じてからは扱ったことがなく、ブームの恩恵には与っていない。75年から84年まで18作発表して、その後はぱったり本が出ていない。本人は復刊を臨んでいなかったという。古本屋としては儲け損なったなあとは思うが、何故書かなくなったのか、何故復刊を臨んでいなかったのか、そちらの方が気になるのである。
 9時、「クライマーズ・ハイ」後編。結局、舞台の新聞社内で反目し合っているように見えている社員同士にもそれなりの連帯感があるのであり(熱いのである、これが。怒鳴り合ったり、もみ合ったり、殴られたり殴ったり)、杉浦直樹の超独裁者社長だけがイヤな奴ということに。しかし、この社長、クルマ椅子に乗っている点が外見の著しい特徴であるが、「美味しんぼ」の主人公が勤務する新聞社社主と同じような和服を着ているのが妙に可笑しい。
 探求書のメールがあり、見ると、当店に在庫のある講談社世界童話文学全集(昭和34、5)を探している由なので、収録作や翻訳者や挿絵画家や状態などを事細かにメモして、さあ返信しようとメール再度見直すして、あれれ、となる。よく見てみると、お客さんは同じ講談社ではあるが童話文学全集ではなく「講談社版少年少女世界文学全集」を求めているのだった。それをオノレに都合よく自分が誤解しちゃったのである。1時間半が無駄になった。ああ、ミゼラブル!
 知人も出入りしている某出版社のサイトを覗いている最中、ありゃりゃ、とズッコケる。よく、あれれ、とか、ありゃりゃ、とか、一日に何度も感嘆したり、驚嘆したりする男なのであるが、この社で今度新刊された詩集が金子光晴黒田三郎、両詩人のパクリみたいなテーマとタイトルなので、ちょっと慌てたわけである。もちろん、掲載されている詩篇は全くのオリジナルであろうが、パロディでもないのにこれはないだろう、と思ってしまった。創業まもない出版社なので、金子、黒田について編集者が詳しく知らないのか、それとも知っていながらあえて、大泉逸郎の「なんでこんなに 可愛いのかよ 孫という名の 宝もの」てな路線でヒットを狙っているのか、謎である。
 入力。12時、チャーハン、イカ刺し、卵焼き、昨日のおでんという不思議なメニュー。Yが「月館の殺人」他を売却した金で用意したものなり。入力。時々さぼりネット徘徊。一日中、マフラー。寝ている時も起きている時も、風呂に入っている時以外は四六時中マフラーを外せない季節がもうすぐそこだ。52点、「日本の古本屋」へUP。

 ラジオで聞いた朝のTV番組で、かつて山梨学院大学に在籍していたケニアのマラソン・ランナー、オツオリ氏が母国で交通事故で亡くなっていたのを知る。アベベも交通事故でなかったろうか。断酒。7時半就寝。