須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 下さいませ〜

 12時半起床。夢。南陀楼綾繁氏と古本市の店番を一緒にやっているというもの。なんで奇麗な女性とじゃないんだ!?12時現在、晴、21・3℃、湿度43%、日中最高気温22℃。トースト2、ミニあんパン1、ヨーグルト、牛乳、カフェオレ、紅茶、冷水。新首相の所信表明演説をラジオで、うどんを啜りながら聞く。
 4時前、郵便局。振替口座から12670円おろし、JA農協で家賃7月分前半3万円、<セブンイレブン>で電気代7月分6973円。<Maxvalu>で15分周遊、何も買わず、自宅近くの<セイコーマート>高台店でトイレロール4ケ入り138円、『週刊現代』立読み。「頭髪革命」という本の広告が目に入る。著者は唐沢さんのラジオ番組にもゲストで出た高須克弥と高須シズ。<高須クリニック>では女性美容整形や包茎手術や「パワーアップ」手術だけでなく、植毛の手術もやっているのを知る。毛髪に関する商売は現代の一大マーケットであるから多少頭があれば放っておくわけがないのだ。5時過ぎ帰宅。『札幌人』秋季号届く。
 6時、うどん、米飯、焼き鰈、ナットウ、緑茶、チョコ、紅茶。受注1件、「人間動詞」。谷川俊太郎+沢村定子+川崎洋萩原朔美のリレーエッセイ集。
 「“夫より妻はもっと大変なのよ!”政治家の妻23人vsみのもんた言いたい放題スタジオ大集合」をヒヤカシにチラッと(と言いながら30分以上)見る。議員の女房たちとハマコーが苦労話で涙、涙(とはいうものの、議員夫人は泣きたいと思ってから30秒で涙を流せないと勤まらないと番組の中で紹介されているのだからホントの涙かどうかは分からない)。政治家の女房が日本で一番辛酸を嘗めている奥さん達であるが如き描き方であった。泣きゃあいいってもんじゃねえーんだ。んなもん、好きでやってるんだから仕様がねえだろーが。この阿媽ぁー。と画面に向かって吠える(ことはしなかったが、心の中で、けっ!)。 
 某雑誌社に稿料をちょーだい、どうか下さいませ〜、とお願いメール。別に向こうが遅れているわけではないのであって、10日もすれば振り込まれるのは自分も承知なのであるが、来週4日にガス代を払い込まなければ、こちらが手遅れになってしまうので仕方なく。数少ない慰安である入浴ができなくなるのは辛いのである。
 零時、チキンカレーライス、冷水、チョコ、アイスモナカ、カフェオレ。入力。「朝まで生テレビ」。

 吉岡実「うまやはし日記」読了。現代詩文庫の高橋睦郎によるインタビューでは読書量は月一冊ぐらいと述べていたが、さすがに文学青年時代には一日文庫1冊ぐらいのペースで読んでいる。男性への観察ももちろん細やかなものがあるのだが、この日記の中には少女から大人の女人まで、女性への<視線>が、徴兵、失業、創作など、将来への<不安>と共に常にある(それなりに生活も愉しんでいるとはいえ)。二十歳前後の日記ノート2冊を詩人自らが手を加えて作品として提出したモノなのであるから、この<視線>は作者により故意に残されものということになる。たしか種村季弘がこの本に触れて指摘していた戦前の東京の町並の<静けさ>も、その筆致に加えて、詩集のように本の頁下半分が空白の版組がもたらす視覚上の効果や、用紙の色や造本でかなり意識して封印されている<静けさ>ではないのか。吉岡実は本作りに随分と凝る人であったようだから。

 5時就寝。断酒。