須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

幸福になりましょう

 10時起床。うどん、ナットー、トースト2、クリームパン1、バナナ2、牛乳、コヒー、紅茶、冷水。12時現在、くもり、−3・4℃、南東の風3m/s 、湿度72%。今日日中最高気温−2℃。<楽天>から受注一件。ラーゲルレーブ「クリスマス物語」。

 4時前郵便局。昨日入金されていた6250円を振替口座からおろす。局内で薫風書林佐々木夫人と会う。挨拶すると驚いていた。近所なので、それほどの不思議なけれどであると愚考するのだが。マンガ家目指して半年前に上京した娘さんのモモちゃんが一昨日帰省した由で、何かしら幸福そうな感じ。亭主が亭主だけに苦労が絶えないことであろうな、と天に唾する行為とは知りつつ同情する。奥さん、来年こそはお互い幸福になりましょう。ええ、スガさんも。と、見つめ合い、お互いに健闘を誓い合った......というようなことはむろんなく、「よいお年を」で別れた。

 帰宅して寝室で「警部補・古畑任三郎」再放送を見る。陣内孝則が犯人の回。テレビが復活してみると、元来がテレビ好きな男であるだけに、どんどん一日の大半が費消されてしまうのであった。

 明日は大晦日、妻は談志の厚冊他、自分の蔵書を街に売りに。「ゴジラ FINAL WARS」(監督:北村龍平)も半分ぐらい見てしまう。地球防衛軍の隊長みたいな男、何処かで見た外人だな、と思って眺めていたら、ドン・フライって、K1かプライドで吉田に負けた男ではないか。

 日記付け。9時から焼酎「幻酒」お湯割り一杯飲みながら、昨日に続き「名探偵赤富士鷹・愛しのサンドリヨン」を見る。吹石一恵、多岐川裕美、名取裕子など出演。まあ、女性への反応が迅速な他は、ぼけっとした性格の助手役というドラマの設定なのであるから仕様がないのであるが、吹石一恵が本を売りに来て、助手が住所も名前も確かめないという場面があるけれども、これは現実にはあり得ない。というのは、戦後の昭和20年代だか30年代までは、ちゃんとした買い入れの仕方をしているか、どういう人間が売りに来ているかを検閲に月に一度だか、数ヶ月に一度であったか、古書の台帳なるものを調べに警察官が各古本屋に廻って来たもので、それが大変煩わしかったもんである、と以前、札幌のある大先輩古書店から聞いた覚えがあるからだ(記憶曖昧)。まして、戦前は買い入れの身元記録に関しては、現在とは比較にならぬほどの厳密さが求められた筈なのである。まあ、ドラマとしてはなかなかよく出来ているし、名前が分からないのが謎の一つにもなって話が進んで行くので、どうでもいいと云えばどうでもいい瑣事なのであるけれど。

 原作は「ゴルフ場殺人事件」。クリスティ作品内における犯行動機は膨大な資産とか遺産目当てとかの、ズバリ金そのものであることがけっこう多く、また、美しく魅力的ではあるけれど、ばたばたとウルサく騒ぎ立てたり、ちょろちょろと動き回ったりする女が犯人というパターンがままあるが、これもそのひとつであった。そしてそういう女が小説のイントロの頃は被害者を装っていたりして、純情(?)かつ単純な自分のような読者はいとも簡単に騙されてしまうのである。

 12時、カツオたたき、ブリ塩焼き、トリ唐揚げ、米飯、みそ汁、アイスビスケット、麦茶。日記付け。4時就寝。