須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

雪でした

 4時起床。いつもより世界がなんか静かであるな、と思いながらカーテン開けるや、雪しんしん。一気に完全なる冬景色。平年より13日遅れ、15年ぶりの遅い初雪とか。15時現在、2・0℃、西南西の風2m/s、湿度74%、今日日中最高気温4℃の由。いよいよストーブが常時稼働する季節となった。
 6時、牛乳、うどん、トースト、アンパンの白黒、カフェ・オ・レ、紅茶。

 ラジオで聞く夕方のテレビ・ニュース。北海道の日本海側、積丹半島沖では数年前からブリがブイブイ獲れ始め、今年は大漁だとか。傍からみれば、そいつぁ目出てえ、と思われるかしれないが、一方で秋サケが不漁。最近は以前揚がっていたサケ、スケソウダラなどの寒流の魚が少なくなり、替わって以前は獲れなかったブリなどの暖流の魚が来ている由。温暖化で北海道の海がおかしくなっているのだそうだ。この夏、岩内沖でシーズンのイカがさっぱりだったのも頷ける。まだ現在のようにブリなどが獲れているうちはいいとして、今後どうなるのか予測もつかず将来不安である、と漁師の人が話すのを聞きながら、この分だといずれ岩内沖のイカやホッケの飯鮓が思う存分食えなくなりはしないかと自分も大いに危惧の念を抱いたのである。
 <楽天>より受注一件。内田善美草迷宮・草空間」。10時から<日本の古本屋>への移行作業。10点のみUP。時々、音量が大きくなったり小さくなったり、時には聞こえなくなったりするラジオを調整。

 12時、久方ぶりに燃えないゴミを投げる。使用済み乾電池二、三十本、同安全剃刀十数本、同スティックのり、使用済みボールペン、サインペン多数、同スリッパ七足、靴一足、ウィスキーのキャップ、ワンカップの蓋など。外に出るや、路面はテカテカのツルツル。ゴミ捨て場のネットにも雪の粉がまぶされている。一瞬このまま自分もゴミに出そうかな、とも思う。が、ナマゴミは曜日が違うし、それに何しろエラく寒いので今日はやめにしておく。見上げれば空高く、火星(と思しき星)がひと際大きく、赤黄色く輝いている。

 入浴、ヒンズースクワット50回。上がってレトルト・カレー、目玉焼き、アイスモナカ。

 ラジオ2時台、CCRなど、3時台、寺尾聡と中村雅俊特集。時折スピーカーの接触悪くなる。4時10分から「ラジオ深夜便・こころの時代」。鈴木健次ディレクターが聞き手となっての夫馬基彦「私の遊行期と家住期」第1回を聞く。大学闘争、渡仏、インド放浪、旅中の臨死体験、日本でのインドブーム、作家デビュー、新人賞受賞、芥川賞レースの話。旅といえる旅をほとんどしてこなかった自分には羨ましい二十代であるし(マネはとても出来ないが)、平坦ではなく紆余曲折のある人生を歩んできた人の話だけに面白いものだった。とりわけ臨死体験の話は強烈で、自分は今までどちらかというと、生死の境に行くと走馬灯のように幼年時代から今までの生涯を夢にみるという物語には眉に唾してきた者であるが、夫馬さんの話は、そういうのって本当にあることなのだな、と素直に信じられた。この「こころの時代」というラジオ番組、アナウンサーを聞き手に何処かの誰か偉い人が出て来て話をするという形式で、傾聴するというのではなく、飯を食ったり、酒を飲んだり、PCに向いながら、今日まで耳に入るにまかせてきた。抹香臭かったり、説教臭かったり、自慢話めいたものが大概で、あまり感心したものは無かったのであるが、今回は元々学生相手の講義で慣れていることもあろうが話がうまく、ユーモラスであり、それに何より、普通なら避けて通りたいような事柄をも率直に語る姿勢には、等身大の夫馬さんが感じられてとてもよかったのである。

 酒一合。8時就寝。