須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

秋の夜長の

 3時起床。15時現在、14・8℃、南の風2m/s、湿度73%、今日日中最高気温17℃の由。

 本日はできれば某所へ出かけてみる予定であったが、起きるのが遅すぎ(それ以前に寝るのが遅すぎ、また徹夜するという根性もなく)、野望潰える。区民センターの図書室から電話。本返却せよ。と威圧的にではなく、やんわりと。妻目録にFAXで注文2冊あり。九州の高齢な方。毎度、国文学関係とどちらかというと艶笑モノのような本を買って下さる人。今回のご注文は「王朝の香り」「オトメの身体 - 女の近代とセクシャリティ」。いまや貴重なカタログ客でもあり、いつまでも元気でいられることを心から願う。<楽天>から受注1件。谷川俊太郎和田誠の復刊絵本「しりとり」。売価750円、定価は1260円。これぐらいの単価のものであると、月に少なくとも300〜400冊は売らないとネット販売を維持するのは難しいだろうな。須雅屋は冊数も、それに金額もせいぜいその十分の一程度であるが。であるから早晩維持できない計算となる。

 4時半、妻が帰宅。岩内の実家から帰りは、いつもは8時頃であるので焦る。例により、うどん他とカフェ・オ・レ、紅茶にて第一食。

 8時半過ぎ、<Maxvalu>へ出向き、岩内から輸入された魚を美味しくいただくために「秋田のさけっこ」(秋田県大館市【株】北鹿)というあまりに庶民的な名称の清酒2リットルパック768円ともやし29円2ヶを買う。

 9時半から11時入浴。ヒンズースクワット50回。あがって、ラジオを聞きながら、岩内近海のマグロ刺身、塩鮭焼き、湯奴、もやしサラダで酒2合、ウィスキー水割り1杯。
 ラジオはNHK「秋の夜長の本の話」で出久根達郎さんが出演、1時からは朗読の最終回、「秋の夜長のものがたり〜女性作家を読む」と題して江國香織 「スイートラバーズ」、川上弘美「 川 」、山本文緒「 庭 」。短編三つ、いずれもよかったが、こういう話は実際あるわなぁ、と納得させられたのが山本のもの。ある年代以降の女性作家(女性とは限らない?)には意識して摂取するのではなく、すでに常識、自然な教養として受入れられているのかもしれないが、江國、川上のものには小説や映像作品の他に、少女漫画の上質な部分からの影響が大きいと感じられた。細かいところで云うと、孫娘と死を間近にした祖父との交流を描く「スイートラバーズ」に出て来る「おじいちゃん」は終始「.....じゃよ」と語尾につけて会話するし(そういう老人って映画か童話か漫画の中にしか見かけないのでは?)、「川」で恋人の男に膝枕されて仰向けになっている主人公の目には、恋人の「顎」は映るが、「鼻」は決して見えない(「鼻の穴」は少女漫画ではタブーとされる)という具合。でも角田光代の短編もそうであったが、食い物飲み物の使い方はそれぞれ実に効果的。と批評家しちゃって、奥さん、どーも、すいませんっ。

 寝床読書で長田弘「一日の終りの詩集」読了。結局、記憶に残るばかりでなく、手元に取って置き、折に触れて読み返したくなるのは、こういう詩集なのだろう。(と、書いたところで横から妻曰く「まっ、いっぱしの読書家のようなことを」)。4時半就寝。