須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

6月7日(火)〜9日(木)

     6月7日(火)

 午後起床。晴。一旦郵便局へ行き、催促メールの効果よろしく入金なった「三角館の恐怖」の金3290円をおろし、家へ戻って出発。

 5時、狸小路<ラルズ>札幌店着。8階催事場で骨董屋さんたちに混じって参加していたA本屋さんの搬出を手伝う。平台4台、掛け台4台に陳列してあった本をダンボール箱につめ、美術雑誌、展覧会図録類は紐で縛る。本を大きさ別に20冊30冊と重ねたものを、紐で的確かつ素早く括るという技術は、一般的に言って古本屋としての基本に属している筈なのだが、どうも自分は縛られる方が性に合うのか(簡単にいいますと不器用ですから)、この「縛り」が苦手で巧くできない。今日も、ビシバシ、テキパキと「縛り」を決めて行くA本屋さんの隣でもたもた。2週間前の陳列時に案じていたとおり、本、図録ともに、開期前よりも汚れと痛みが目立つような気がする。40分ほどして、伊藤赤帽のおにいさん着、カーゴ3台分に積んだ荷物を1階に降ろし、赤帽車に積み換え、すすきの三条HBCビルへ運搬、またこれを降ろして2階のA本屋店舗へ運ぶ。A本屋さんと各自約30回階段を往復、荷運びを繰り返し汗たらたら。6時半作業終了。バイト代2千円をいただく。あまり潤沢に売れたわけでもないだろうに、申し訳なし。

 帰り、近くの<ローソン>で目出たくもガス代を払い、大通り地下<リーブルなにわ>に寄り、『詩学』立読み。3月号で休刊していたのが6月号から無事復刊。H氏賞と現代詩人賞の発表特集。H氏賞は山本純子「あまのがわ」、現代詩人賞は平林敏彦舟歌」。30年ほど前はH氏賞高見順賞、あと何だろう、現代詩手帖賞小熊秀雄賞ぐらい、ともかく片手前後しか詩の賞なんてなかったと思うのであるが、今は選り取り見どり百花撩乱花ざかりの森に賞が咲き乱れている。でも、70年代はむろん、80年代から比べても今日、おそらく詩の読者は減り続けているにちがいない。この乖離はなんなんざんしょ、一体。南平岸Maxvalu>で紅茶を買い、8時過ぎ帰宅して入浴。
 ラクテンへ1点のみUP。オークションに出していた「岡本太郎EXPO'70・太陽の塔からのメッセージ展図録」に注文あり。やはり今、万博と岡本太郎に人気があったっていいじゃないか。ぶつけるんだ、ぶつけるんだヨ、。

 日ハム0×横浜2(門倉5年ぶり完封、ハムは7連敗)、巨人1×ロッテ2でG再び単独最下位。妖怪ナベツネ復活の報。さすがに巨人ファンからも顰蹙かうんではあるまいか。

 12時15分からのNHKスペシャル再放送を見ているうちに、食後に食べた、妻の実家からの貰い物、山梨名物信玄餅に催眠剤でも仕込まれていたのか、猛烈な睡魔に襲われ二度ほどうつらうつら、1時半布団へ。福田和也「作家の値うち」を眺めているうちに顔にかぶせて寝てしまう。本日も断酒。


     6月8日(水)

 5時半目が覚めるが、妻がネット見て遊んでいるので起きられず、枕元の本を読み散らし、しまいに粕谷栄市「世界の構造」再読始める。これは寝ながらは読めぬ絵本のような大きさの詩集なので座って読む。

 8時前起床。紅茶。メールチエック。手帖文庫「明治元年」のお客から、意味不明な理由でキャンセルの申し出。ああ、やはりヌカヨロコビであった。ほんとうにこの人が女性なのかどうかも疑わしいもんだ。この後、たまっていた日記書きに勤しむ。

 4時45分から里見「水戸黄門」。その後ニュース。旭川ヤフオクのネット詐欺男逮捕。38才。被害額1億2千万円。数年前に起きた借金苦で老人三人が轢死自殺した事件、自殺そのもに闇金業者が関わっていた疑いあり。アン・バンクロフト死去、73才。意外に若かったのね。

 7時からTVでサッカー日朝戦。寝室の画面の映らぬテレビで音声を大きく流し、居間の音の出ないテレビの画面を見ようとするも、ザザッーと雑音うるさく堪えられず、またサイレント・サッカーを見る羽目となる。後半28分珍しく柳沢、終了間際大黒、2−0で勝利。大黒は2001年にはコンサドーレ札幌に在籍していたそうだ。監督岡ちゃん最後の年の筈だが記憶にない。エメルソンといい、山瀬といい、今野といい、コンサ出身者は皆それなりに活躍しているが、彼らの抜けたコンサはJ2で低迷、喘いでいる。

 本日夜から札幌でよさこいソーラン祭り始まる。全然関心なく、見に行ったこともなければ、また今後行くこともないだろう。ニュースで流される絵を否応なく眺めさせられる分には、カラオケと同様、いやそれ以上に、やっている本人たちは楽しいだろうが、みている方はさほど、というイヴェントに思えるのだが。


      6月9日(木)

 午後起床。くもり。蒸し暑し。郵便局へ行き、振替妻口座とぱ・る・る自分口座から金おろし帰宅。集荷で出すつもりであった冊子小包を持って再び郵便局へ、先ほど、新しい号が置いてあるのを発見したタウン紙「おしゃべりBOX」15部確保し、家へ戻る。これは通信販売に必要な梱包資材としてとても重宝しているのである。

 日ハム3×横浜7、横浜5連勝、日ハム七年ぶりの9連敗。巨人2×ロッテ10。Gは交流戦対ロッテ1勝5敗だそうで、今の力の差そのまんまの結果。

 9時から、ラクテンのジャンル変更で新しくなった書籍雑誌分野の番号をいちいちメモする。けっこう時間取られる。これはプリンターを所有していないせいであるが、自分が知る限りネット関連の企業というのは、どんな大切なことが会社側の都合で発生しても、文書の郵送では絶対に知らせて来ないようである。だから、成功したんだろうけど経費削減に熱心というか、ほんとに吝い、つまりケチ、守銭奴が多い業界みたいだ。ウチも見習うとするか、今更何をやっても遅いだろうけど。昨日1点、本日2点、ホンヤクものをラクテンへUP。
 有栖川有栖「作家小説」の巻頭の一編「書く機械(ライティング・マシン)」読む。エンタテインメント文壇の作家たちを主人公にした荒唐無稽な連作短編集で、その趣向は東野圭吾の「超小説殺人事件」と類似している。一編読んだだけで言うと、スラプスティックな笑いの爆発と毒の強さでは東野の方がやや上か。が、充分に楽しめた。

 昨日も本日も断酒。