須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

金曜 詩の拳闘試合

 昨日逮捕され釈放されていた中西一善が記者会見。もう一生酒は飲みません、と頭を下げていた。なんとなく、「ば〜か」と笑って、斬って捨てられぬところが自分にはある。

 深夜1時からETVで昨年秋に開催された「第4回詩の拳闘試合全国大会」の再放送を見る。嫁ぎ遅れたオールド・ミス(って古いか?)のネクラ文学少女(?)といったキャラクター演じて笑いを誘い、第一回戦から異様な迫力で見るものを引きつけ、決定戦では一転、ムード変えて本来の抒情詩を朗読し、高橋源一郎佐々木幹郎の絶賛を浴びた林木林さんが優勝。番組途中でプロフィール紹介が入り、この人、別名「うにまる」であることが判明。

 なーんだ、うにまるさんか、である。どういうわけか詩集こそまだ出していないが、『ユリイカ』と『詩学』の新人賞を何年か前に受賞しており、すでにその実力が充分に認められ、名前も斯界では知られたレッキとした詩人である。ただ、商業詩誌の投稿欄というのは、他の雑誌であっても何か新人賞をもらうと、あなたはもう卒業ですから投稿しないで下さいというのが暗黙の掟なのであるようなのだが、この人一種の投稿マニア(失礼)なのか、それとも詩が出来過ぎて困るのか、つい最近まで『詩と思想』誌にも投稿していた。さすがに他はもうやめたようであるが、いまだに唯一誰が寄稿投稿しようが自由である季刊文芸誌『抒情文芸』にはやり続けており、毎回作品が掲載されている。実を言うと、若年の頃からの意中の詩人である清水哲男氏が選考担当なのにひかれて、自分もこの雑誌に投稿しておるので、うにまるさんとは言わば投稿仲間なのである。しかしである。現代詩界でも指折りの詩の名人清水哲男さんから「舌を巻くほど巧みな比喩です」などど毎回のように絶賛されているうにまるさんは、まあ、ほぼ2回に一度(かな?)の割合でしか作品が掲載されていない自分のことを、名前すら覚えていないであろう。

 Eシーク・A本屋委託分より注文。シリトー「ノッティンガム物語」。検索で調べたら同じESに何点か安く載っておるではないか。何故わざわざ、値段の高いウチの本を頼んできたのか、客もいろいろであるなあ。妻の本であるが。

 断酒。