須雅屋の古本暗黒世界

札幌の古書須雅屋と申します。これは最底辺に淀んでいる或る古本屋が浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々の記録でございます。

火曜 しゃぶ中毒

 午後3時半起床。牛乳、カフェオレ、紅茶、冷水。区民センター図書室へ出かけ、4冊返却、三島由紀夫関係9冊借りる。〈セイコーマート〉で豊穣米というアヤシイ名前の米5k1380円を確保。5時半帰宅。本日の気温21・8〜27・7℃。書見。

 7時過ぎ、妻と外出。地下鉄でススキノ。車中、三島『夏子の冒険』。ラマダホテル1階の〈しゃぶ十勝〉というちょっと危ない名前の店へ。今夜この時のために、しゃぶしゃぶ専門店であるこの店をネットで調査、検討していた自分は、「十勝牛食べ飲み放題4980円コース」を愉しもうと心に決めてきたのだが、15分ほど待たされている間に、「豚三種食べ飲み放題3980円コース」に「生寿司食べ放題1000円」を付ける組み合わせが妻から提案され、結局あれもこれも食べたいという食い意地の張った自分の意向で、「三種(牛・ラム・豚)食べ飲み放題4150円コース+生寿司食べ放題1000円」の組み合わせに落ち着いたのである。都心で妻と食事をする、などというわが家においては破天荒な、だいそれた贅沢が出来るのは、臨時収入があった訳ではなく、古本のお客さんKさんのお陰によるもの。七月のラルズ古本市にいらした時、大通公園のビアガーデン・クーポン券500円を20枚頂戴していたのである。そして、ビアガーデン終了の8月15日以後は、道内の〈銀座ライオン〉チェーンの店でクーポンが使用可能と知り、この〈しゃぶ十勝〉に的を絞っていたという訳なのだ。従って今夜の飲食代、10300円のうち自分の負担は300円だけなのである。券を貰った時、なちぐろ堂夫婦か薫風書林を誘ってビールを飲もうかな、それで元手かけずに、イイ人だなあ、と思われようかな、とも考えたのだが、一緒に外食したのは数えるほどの妻のことを思い出したのだ。釣った魚に餌はやらないを旨として暮してきた自分であるが、出費ゼロで(実際には交通費二人分込みで1260円だが)、20年に一度ぐらいだけどもたまにはイイこともする男だったのか、と思われようという作戦である。この後、向こう20年、こんな晩餐を妻と囲むことはないだろうから。この後、豊平川に蹌踉と赴いて「夫婦で入水」と明日の新聞に掲載されるかもしれぬ決意を夫が抱いているのでは、と妻は疑心暗鬼であったらしいのだが。

 ビールジョッキ二杯と酒二合、米焼酎水割り一杯を飲みながら、道産野菜と肉をしゃぶしゃぶして食べまくり、しゃぶ中毒状態、合間に寿司もぱくぱく。キノコ盛り合わせ他の野菜が実に旨くおかわり、肉は牛、豚、ラムの順番で片付け、また牛を頼んだところで満腹となり、締めのうどんはとても食べられない状態となった。デザートのアイスクリームもふた匙舐めたのみで妻に食べてもらう。どうも、食い意地を張らずに、やはり当初の計画通り「十勝牛食べ飲み放題4980円コース」をチョイスしていた方がよかったかもしれないと後悔するが後の祭り。いつかまたしゃぶ中毒になるべく来店したいものだが、収入が、ぐっと鋭角的に上向かない限り、おそらくその機会はないであろう。

 帰途、地下鉄の車内で半ズボン?姿の薫風書林に遭遇。南平岸駅で妻と別れ、〈Maxvalu〉で低脂肪乳1、トイレペーパー、計483円購入。薫風佐々木氏と話しながら帰る。帰宅後、腹部に膨満感あり、やや腹痛。つまり、単なる食い過ぎにより、11時過ぎダウン、横になる。さすがに忸怩たるものあり。