８時目覚め。８時半起床。６時現在、雨、１８・７℃（最高気温２１・２℃）、湿度９２％。鶏即席麺、ナットウ、おにぎり１、冷水、牛乳、カフェオレにて第一食。
９時半過ぎ出。地下鉄で◯◯◯◯駅へ行きバスに乗り換え。１０時半前某宅着。先々週の続きで今日は二階をやっつける予定となっている。二階の座敷へ上がると「おお、来たか。来ないかと思った」と本の仕分け中の亜本屋さんに迎えられ、「じゃ、お前さんはここをやってて」と案内されてまた廊下に出、今しがた昇って来た階段上がり口まで戻り、シャッターを開け閉めするのに使うような棒を亜本屋さんが天井に延ばして引くと、長さ幅共に畳の半分ぐらいだろうか天井の一部が降りて来たのには驚いた。そこから折りたたみ式の梯子を降ろして亜本屋さんに続いて昇って屋根裏部屋に上がると、７、８畳ほどのスペースがあり、四方の棚に入っているのや雑然と床に所狭しと積み重ねられているのや、とにかく本がいっぱいの洞窟に迷い込んだよう。ご主人は戦時中海軍にいらしたとのことだが、ちょっとここ、潜水艦っぽいというか忍者屋敷の隠し部屋っぽくて楽しい、おもしれえ、と始めはハシャイだ気持もあった。だが、窓がないところに照明が不十分で暗く、天井は低くて動きづらく、梯子の上がり端から正面の壁までが２５cmあるかないかで、穴の両サイドも本や雑誌やアルバムや菓子箱みたいな箱が散乱して文字通り足の踏み場もない状態であり、また梯子の一段一段の幅も足を横向きに置くとちょうど収まるぐらいの狭さであって、奈落への入口とはこんな所か、と思わせる古本屋にしてはたいへん危険な仕事場であるのが判ってきた。今日明日の最大のテーマはこの穴から落ちたり、梯子を踏みはずして転落しないよう細心の注意を払うことに決定。ここで死んだり怪我などしては浮かばれない。薄暗い灯りの中、ミイラ化したカメムシさんたちの屍骸が床のあちらこちらに転がっており、これを踏まないように移動しつつ本を仕分けして縛ってゆく。戦記物は１階に集中分類して置かれているのかと思ったらここにもあった。映画芸能関係、食い物関係もしかり。文芸書も尾崎士郎や小島政二郎や川口松太郎や時代小説や北海道関連の作家など１階で整理して仕分けしたのと同じ作家たちの本がまた出て来た。尾崎士郎『人生劇場』新潮文庫揃いは全冊にグラシン紙がかけてあり、それをまたビニール袋に入れてあって、この執拗さは古書須雅屋出身の本ではないかと思った。どうやらご主人、当店にもいらしたことがあるらしい。縛りあげたものを穴の側に置き、たまったところで亜本屋さんが二階の廊下に降ろしてゆく。小檜山博エッセイ集『野人の巣』をふむふむと拾い読み。１３時半昼食休憩。持参おにぎり２と供された緑茶とゼリーみたいなデザートで。「あんまり儲らないんだけどな。何やってんのかな、こんなことばっかりやってて」と亜本屋さんが笑顔で漏らすのに同じことを考えていた自分は笑いはなしで深く頷く。１６時頃、和室の仕分けを終えた亜本屋さんも天井裏の整理にかかる。小柄な亜本屋さんに比べればやや背丈のある自分は天井の梁に何度も頭をぶつけ、その度に「いてえ」と自然に声が出る。本の縛りを持って何十回も梯子を降りた亜本屋さんはまだ元気そうに見えるのに対し、たいした仕事もこなしていないというのに自分は、ずっと中腰のままで作業をしていたせいか次第に腰が痛くてなってき、頭もぼーっとしてきて往生する。１７時過ぎ終了。バイト代６千円頂く。
作業中時々雨の降る音がしていたがすでにあがって路面も乾いている。バス亭に立っていると家並みの向こうに見える山に靄がかかっていたりして定山渓か何処かの温泉地にいるような景観。バスを待つのは自分の他に大学生らしきカップル。小耳に入ってくる会話は、「２年ぐらいごとにイギリスが恋しくなるの」「ぼくも」、などど話題も高級住宅地らしく金持ちっぽいのであって、ケッコウ、キミたちグローバルで大いにケッコウ、とコメントしながらおじさんは後から蹴飛ばしたくなったりするのである。バスの窓から＜寿司善＞本店が見え、あ！ここがあの、高倉健も来札ごとに訪れるとかいう、なぞと内的独白しながら一生来れる身分にはなれないと分かってはいるのに場所を記憶しておく。バスを降りて古本＜R屋＞。三浦哲郎、松浦寿輝、玄月、奥泉光文庫計４冊９４０円。松浦寿輝文庫「もののたはむれ」は二週間前に次回来店時でもまだあるだろうとふんで買わなかったもの。やはり棚に収まっておられた。もう二週間後でもあったような気もするがそれは判らない。南平岸＜Maxvalu＞で牛乳１６８円。１９時２０分帰宅。入浴。筋肉鎮痛消炎剤ボルタレン全身に擦り込む。ポークソーセージ、冷奴、メカブ、もやし、漬物、日本酒１、ウィスキー水割り３。１時就寝。
